News 2001年1月31日 08:52 PM 更新

IBM,5時間駆動のThinkPadを発表

日本IBMは超低電圧版モバイルPentium IIIプロセッサを搭載したThinkPad i Series 1124を2月3日に発売する。

 日本アイ・ビー・エム(IBM)は1月31日,超低電圧版のモバイルPentium IIIプロセッサを搭載した個人向けのB5サイズノートPC「ThinkPad i Series 1124」(2609-93J)を発表した。価格はオープンプライスだが,直販のIBMダイレクト価格は19万8000円。2月3日より販売を開始する。


液晶ディスプレイは10.4型TFTながら,1024×768ピクセル(1677万色)表示が可能

 i Series 1124が採用した超低電圧版のモバイルPentium IIIプロセッサは,500M/300MHzの2段階で動作する。300MHzで動作するのはバッテリー駆動の場合で,電圧は1ボルト以下,消費電力は0.5ワット未満に抑えられている(別記事参照)。このため,日本IBMによれば,i Series 1124は現行モデル(2609-73J)と比較して電力消費を約31%低減したという。連続駆動時間は,標準バッテリー使用時で約5時間,オプションの「Full Day バッテリー・パック」を使うと約7.5時間となる(いずれもカタログスペック)。

 今回,インテルの発表と同時に対応製品を発表したのは,日本IBMだけ。ソニーや富士通なども超低電圧版モバイルPentium IIIプロセッサを組み込んだ製品の開発表明を行ってはいるが,具体的なスケジュールは未定だ。なお,インテルでは,「超低電圧版モバイルプロセッサの供給に問題はない」と話している。

 また日本IBMでは,Crusoeではなく超低電圧版のモバイルPentium IIIを採用したことについて, 「某メーカーのように,液晶ディスプレイのクオリティを落として,巨大なバッテリーをつければ駆動時間が長くなるのは当たり前。日本IBMでは,従来のパフォーマンスは保証しつつ,いかにしてバッテリーライフを伸ばすか研究してきた。そういう意味では,Crusoeはまだ十分なパフォーマンスを発揮できていない」(日本IBM)と述べた。

 主な仕様は以下のとおり。

モデル i Series 1124
CPU 超低電圧版モバイルPentium III/500MHz(バッテリーモードでは300MHzで動作)
メモリ 64Mバイト(最大192Mバイト)
HDD 20Gバイト
ディスプレイ 10.4型TFT液晶(1024×768ピクセル)
駆動時間 約5時間(標準バッテリー)/約7.5時間(Full Day バッテリー・パック)
そのほか 56Kbpsモデム,PCカードType I/II×1,IrDA,FDD(外付け型同梱)
本体サイズ 260(幅)×202(奥行き)×43.5(高さ)ミリ
重量 1.46キロ(標準バッテリーパック含む)
OS Windows Me
価格 オープン(IBMダイレクト価格は19万8000円)

オプションも拡充

 また日本IBMは同時に,オールインワンタイプの「ThinkPad i Series 1800」(2628-IAJ),普及価格帯のスタンダードモデル「ThikPad i Series 1200」(1161-42J/72J/92J),ならびにB5ファイルサイズのi Series 1620(2662-33J)を発表した。いずれも従来モデルからのマイナーアップグレードとなる。

 またオプションとして,機内で利用できる「エアライン・アダプター」(1月31日発売,9800円),USB対応の小型記憶媒体「8MB USB メモリー・キー」(1月31日発売,4800円),ならびに2.18キロの小型プロジェクター「IBMウルトラポータブル・プロジェクター」(2月16日発売,64万8000円)などを追加した。

 主な仕様は以下の通り。

モデル i Series 1800
型番 2628-IAJ
CPU モバイルCeleron/700MHz
メモリ 64Mバイト(最大256Mバイト)
HDD 20Gバイト
ドライブ CD-RW(8/4/24倍速)
ディスプレイ 14.1型TFT液晶(1024×768ピクセル)
OS Windows Me

モデル i Series 1200
型番 1161-42J
CPU モバイルCeleron/600MHz
メモリ 64Mバイト(最大192Mバイト)
HDD 10Gバイト
ドライブ CD-ROM(最大24倍速)
ディスプレイ 12.1型TFT液晶(800×600ピクセル)
OS Windows Me

モデル i Series 1620
型番 2662-33J
CPU 低電圧版モバイルPentium III/600MHz
メモリ 64Mバイト(最大320Mバイト)
HDD 20Gバイト
ディスプレイ 12.1型TFT液晶(1024×768ピクセル)
OS Windows Me

 さらに,今回発表された新製品には,「IBM PC Care(ThinkPad拡張オプション)」が付属している。これは,既存の保証修理サービスに加え,落下や自然災害による故障・破損,ならびに盗難・紛失についても保証するというもの(詳細は以下参照)。サービス期間は1年間。

IBM PC Care(ThinkPad拡張オプション)
免責(ユーザー負担金額)
一部損故障,損壊に対し修理見積もりが10万円未満の場合,無償で修理。10万円を超えた場合は超過分をユーザーが負担する
全損代替機提供費用として5万円をユーザーが負担。利用は1回のみ
盗難・紛失代替機提供費用として5万円をユーザーが負担。利用は1回のみ


発表会場には,IEEE 802.11b規格の通信モジュールを内蔵したThinkPadも参考出展されていた。アンテナが液晶ディスプレイ脇のフレーム部分に組み込まれている。Wi-Fiの認定も受けているという。製品化の時期については未定

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[中村琢磨, ITmedia]

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