News | 2001年1月31日 11:59 PM 更新 |
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記者の質問に答える香山哲特別顧問(左)と 佐藤秀樹副社長 |
既報の通り,セガは家庭用ゲーム機ハード事業から撤退し,コンテンツ事業(ゲームソフト)ならびに業務用アミューズメント事業に集中して経営再建を図るとしている(別記事参照 )。特にコンテンツ事業では,ネットワークゲームを主軸に据え,マルチプラットフォーム対応も視野に入れた10タイトルを開発している。ネットワークゲーム以外でも,プレイステーション2などの他社プラットフォームにソフトを供給する予定だが,香山本部長は「XboxやGame Cubeなど,未発売のプラットフォームについては,開発体制は整えているものの,具体的はことはまだ言えない。ただ,どちらも一長一短といったところか。Xboxについては,世間で言われているようなこととは,全く違う評価をしている」と話す。
なお同氏は,ソフト事業の今後の見通しとして,「売上規模で言えば,XboxとGame Gubeがスケジュールどおり今年中に発売されたら,今期実績の900万本(ワールドワイド)を50%は上回ることが可能だろう。もちろんこの数字には,ドリキャス製造中止の負のインパクトが影響することも計算に入れている」と発言。ソフトの開発力には大きな自信を見せた。ただ,ゲーム製作には強気な香山氏だが,「サードパーティや販売店,ユーザーの強烈なアゲインストは予想している」と構える。
実際,一部のゲームメーカーでは,ドリキャス用タイトルの開発を中止する方針を打ち出すところもあり,香山本部長は「申し訳ないの一言しかない」と頭を下げる。「現在,ドリキャスの手持ち在庫は203万台ある。今期に販売した数量とほぼ同等が残っているわけだ。まず,この在庫を一掃することが最大の責務。その方法としては,価格政策も含めて検討している。生産中止に不安な思いを抱いているソフトメーカーや販売店には,来週以降,きちんとビジネスが成り立つように個別に対応していくつもりだ」(同本部長)
またアミューズメント事業については,香山本部長は「業務用ゲーム機のNAOMIは,全世界で70%という圧倒的なシェアを持っている。今後は,ネットワーク対応のビデオゲームなど,精力的に新機軸の製品を開発する」と説明する。
記者会見で再建への戦略を必死にアピールした香山本部長だが,全体的な方向性を示しただけでより踏み込んだ話については聞くことができなかった。赤字を垂れ流すだけのドリキャスを諦め,セガの強みであるコンテンツ開発事業とアミューズメント事業に特化するという判断は,おそらく正しいものだろう。だが,具体的な施策が明らかにならなければ,それは絵に描いた餅にすぎない。質疑応答では,「具体的な返答を」と念を押す記者が多かったが,香山本部長は「従業員削減などのリストラ策を構造改革本部で検討し,2月中には次のステップを発表する」と述べるにとどまった。
また,ドリキャス生産中止とは直接関係ないが,記者会見で1つ気になったのは,昨年11月の事業計画説明会では,再建へのシナリオを熱弁したセガ代表取締役会長兼社長で親会社のCSKの名誉会長でもある大川功氏の姿がなかったことだ。同社幹部は欠席の理由について「風邪をひいたため自宅で療養している。最近,会社に来ることは少なくなったが,見守っていようという配慮かもしれない」と説明した。ただ,昨年7月に食道ガンと診断されたこともあるだけに,大川氏の容体は気になるところだ(同氏によれば,放射線治療と免疫治療により9月中旬には奇跡的にガンが消えていたという)。
その大川氏だが,セガ再建のために850億円もの個人資産を贈与した。セガ幹部は,「これは,株主にセガが本気で再建を目指すことを意思表示すると同時に,経営陣にはとっては大きな激励になった」と熱く語る。今回だけでなく,これまでにも幾度となく私財を投じてきた大川氏の想いに応えるためにも,再建を成功させなければ,それこそ背任罪というものだろう。
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