News 2001年2月6日 10:11 PM 更新

松下,W-CDMA端末に向けてMPEG-4マルチコーデックLSIを発表

松下電器が複数の動画を同時に圧縮・伸張できる世界初のMPEG-4マルチコーデックLSIを発表。W-CDMA端末に採用する方針を明らかにした。

 松下電器産業,松下通信工業,松下電子工業の3社は2月6日,複数の動画を同時に圧縮・伸張できる世界初のMPEG-4マルチコーデックLSIを発表した。双方向のTV会議なども1チップで実現できるため,端末の消費電力削減や小型化などに貢献する。同社のW-CDMA端末に採用されるほか,PDC, PHSなどの用途に向けて外販も行う予定だ。

 松下のMPEG-4マルチコーデックLSIは,最大でMPEG-4の圧縮×2系統,伸張×4系統を同時に処理できる。動画は,基本的にQCIFサイズ(176×144ピクセル)の15フレーム/秒だが,シンプルプロファイルの伸張1系統のみなら,CIFサイズ(352×288ピクセル)の30フレーム/秒まで再生可能だ。オーバーレイやピクチャーインピクチャーの機能も盛り込まれており,TV会議では相手と自分の画面を同時に表示しながら話をすることができる。

 また,伸張機能に限り,「MPEG-4コアプロファイル」もサポートした。MPEG-4コアプロファイルは,通常の矩形画像(四角い画面)を最大384Kbpsに圧縮するシンプルプロファイルに,任意の形状を扱う機能を追加したもの。例えば,背景にコアプロファイルのアニメーションオブジェクトをオーバーレイして動画にしたり,“News Ticker”のようなアプリケーションを加えたりといったことが可能になる。「オブジェクトは4つまでサポートしている。画像をパーツとして扱えるため,多彩な画面構成が可能になるだろう」(松下)。

 同製品のもう1つの特徴は,低消費電力だ。マルチコーデック時におけるシンプルプロファイルの圧縮・伸張処理では,動画1系統あたりの消費電力は,わずか50ミリワット。これは,DRAMのオンチップ化とクロックゲーティング技術(使用していない回路へのクロック供給を停止させ,電力消費を抑える技術)によって実現したという。

 そのほかの主な仕様は以下の通り。2001年の第2四半期にサンプル出荷を開始する予定だ。

製品名 MPEG-4マルチコーデックLSI
品番 MN1959041
電源電圧 外部2.9〜3.3ボルト,内部1.8ボルト
消費電力 50ミリワット(マルチコーデック時のシンプルプロファイル処理1系統の場合)
内部動作クロック 54MHz
プロセス 0.18μメートルCMOS,DRAM混載プロセス
パッケージ CSP239ピン
画像符号化方式 H.263/MPEG-4
最大画像サイズ CIF(352×288ピクセル)

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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