News 2001年2月9日 09:16 PM 更新

ブロードバンド環境を手に入れたら使い倒そう

 アイ・オー・データ機器からIEEE802.11b準拠の無線LAN製品が発売されたので,試しに買ってみた。購入したのは,無線LANアダプタの「WN-B11/USB」。パソコンのUSBポート経由で無線LANに接続するためのアダプタだ。


アイ・オー・データ機器のWN-B11/USB。アンテナは折り畳むこともできる

 難を言えば,付属のUSBケーブルが1メートル以上あって煩わしい。これほど長いケーブルが必要なのかは疑問だ。でも,デスクトップパソコンの裏にあるUSB端子に接続するような場合は,このくらいの長さが必要になることもあるんだろうか。大は小,もとい,長は短を兼ねるとはいえ,あまりにも長すぎるので,ケーブルは別途購入した。ヨドバシカメラの店頭で物色したところ,サンワサプライのUSBケーブルに0.3メートルというものを見つけたので,それを選んだ。ほかのメーカーの製品は短くても0.5メートル程度だったので,かなり短い部類に入る。ただ,気持ち的には10センチくらいのケーブルがあってもいいんじゃないかと思う。

 さて,うちでは,既にメルコの「AIRCONNECT」シリーズを使った無線LANが稼働中で,クライアント数台を無線接続していたが,今回は,それに追加する形でクライアント用のアダプタを購入したわけだ。最近のノートパソコンは,PCカードスロットが1つしかないことが多く,そこは,PHSデータ通信アダプタ「MC-P210/TD」や,コンパクトフラッシュ用のアダプタでふさがっていることが多い。自宅に戻って,カバンから出したノートパソコンをサッと無線LANにつなぐのには,USBが便利かなと思ったのだ。

 アイ・オー・データ機器では,メルコ製品との接続を通信動作確認済みとしているが,看板に偽りなく,何の問題もなくつながった。いつもいうことだけれども,標準規格というのは,こういう点で安心できる。今回,アイ・オー・データ機器の製品を購入したのは,単に既存製品よりも,かなり価格が抑えめであったという点に尽きる。特に,アクセスポイントの2万4800円という価格は特筆ものだ。これで,低価格化が加速され,ホームユースでも気軽に無線LANを敷設できるようになればどんなにいいかと思う。

 アクセスポイントを持つ無線LANを使えば,既存の有線のネットワークと無線クライアントを容易に接続することができるが,有線LAN同士を接続するのは難しい。たとえば,AとBという2つの部屋があって,それぞれの部屋の中に,独立した有線LANが敷かれているとしよう。この2つの部屋を無線でつなぐには,現行の無線LAN製品では難しいのだ。でも,ニーズはあると思う。

 ビジネスユースはもちろん,家庭であっても,今後は,そんなニーズがきっと出てくる。そう簡単に家を改造することはできない以上,複数台のPCを無線で取りまとめることができるのと同時に,LANとLANを無線でつなぐシカケが必要になる。テレビやビデオ,ゲーム機といったものがどんどんLANにつながっていくのだから,LAN間接続は大企業の話とはいっていられなくなるんじゃないだろうか。

有線か? 無線か?

 先日,別件でシスコシステムズの赤坂新オフィスを取材する機会があったが,同社では,ビル内LANの敷設にあたり,有線と無線という究極の選択に迷った結果,メインのLAN環境には有線を選んでいる。無線LANの11Mbpsというスピードは,ブロードバンドで接続されたWAN側のリソースを扱うには,ちょっと力不足という判断からであるという。

 これは,家庭でも同じで,xDSLで数Mbps程度のインターネット接続を快適に利用するには,11Mbpsで十分だが,平気で百Mバイトを超えるデジカメの写真ファイルや音楽データを,PC同士でやりとりするためには,やはり遅い。現状では,無線と有線のLANをうまく使い分けていくしかないのだ。

 新潟キヤノテックの「NetHawk RF-100E」は,こうしたケースにそれなりのソリューションを提供してくれる製品だ。パソコンはもちろん,プリンタ,ハブなど,10BASE-Tインタフェースを持つ機器であれば,なんでも無線化することができるというものだ。


新潟キヤノテックのNetHawk RF-100E。10BASE-T接続だからドライバのインストールも必要ない

 先の例ではAの部屋とBの部屋のハブにこのアダプタを接続すれば,ふたつの部屋のLANは無線で接続される。同社では,有線LANから孤立した位置にあるプリンタなどを無線LANに含めるための用途などには最適としているが,2世帯住宅や,書斎,子ども部屋,リビングといった狭域有線LAN間接続にも重宝するに違いない。

 もちろん,手放しでほめられる製品でもない。まず,標準価格が高い。3万4800円という価格はちょっとないんじゃないか。また,ACアダプタが必要という点もわずらわしさを感じる。たとえば,電源を内蔵した10/100BASE-Tの無線ポートつきの有線LAN用ハブとして提供するようなソリューションもあったのではないだろうか。

 クライアント用のアダプタが,有線LANのNICとあまり変わらないような価格になり,アクセスポイントがハブと同程度の価格になれば,コスト的なことはあまり考えなくてもよくなるかもしれない。が,当面はデータの転送速度についての解決ができない。

 もっとも,データの圧縮技術が,帯域幅の問題をカバーするという考え方もある。いくら大容量でも邪魔にならないとされる現行のハードディスクだが,100Gバイトもあれば十分という時代がくることも考えられるし,帯域が3Mbpsもあれば,十分にリッチなコンテンツが楽しめるということにもなるかもしれない。

 いずれにしても,テクノロジーの進化を喚起するには,ニーズが必要だ。乱暴な言い方かもしれないが,ブロードバンド帯域を手にしたユーザーは,遠慮せず,贅沢にその帯域を使い尽くすべく,努力をしてほしい。それが,早期に広いバンド幅を得ることができたユーザーにできる,ある意味での社会貢献だと思う。

関連リンク
▼ アイ・オー・データ機器の製品情報
▼ 新潟キヤノテックの製品情報
▼ メルコ

[山田祥平, ITmedia]

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