News 2001年2月26日 11:51 PM 更新

加入者27万人を目指すアットホームジャパン

ジュピターテレコムとタイタス・コミュニケーションズの合併により,サービス開始から1年あまりで10万人のユーザーを確保したアットホーム。加入者拡大戦略を展開する同社は,インフラとコンテンツをさらに強化しようとしている。

 アットホームジャパンは2月26日,プライベートショウ「2NetHomeビジネスカンファレンス2001」を開催し,2001年度の事業計画案を発表した。アットホームは,CATV事業者に対してインターネット接続ソリューションとコンテンツを提供するサービスプロバイダ。今年度は,コンテンツの充実と提携CATV事業者の拡大により,27万人の加入者獲得を目指すという。

 2000年6月にサービスを開始したばかりのアットホームジャパンだが,株主でもあるCATV事業者,ジュピターテレコム(J-COM)のインターネット接続サービスを,「J-COM@NetHome」という名称で一手に請け負っている。とくに,昨年はJ-COMがタイタス・コミュニケーションズと合併したことで加入者が10万1000人にまで拡大し,7億3000万円の売上高を計上したという(2000年6月27日の記事を参照)。最終的には31億2000万円の損失であったものの,「目標であった売上高5億4000万円,損失39億6100万円を大きく改善する結果となった」(同社の廣瀬禎彦社長)。なお,売り上げの9割は加入者のインターネット接続料によるもので,コンテンツサービスは残りの1割程度だが,「今年度も比率は変わらない見込みだ」(廣瀬氏)という。コンテンツはCATV事業者との提携に向けた材料として強化しつつ,まずパートナーと加入者の獲得を目指す構えだ。

 同日,アットホームジャパンは江戸川ケーブルテレビへのサービス提供を発表した。「ジュピター系列以外の独立ケーブルテレビ局に採用されたのは初めてだ」(廣瀬社長)。もっとも,江戸川ケーブルテレビは,タイタス・コミュニケーションズの「ALLNET」を採用する予定だったが,タイタスとJ-COMの合併に伴ってJ-COM@NetHomeへ移行した経緯がある。純粋に独立系CATVに食い込んだとは言い難いものの,資本関係のないCATV事業者で採用された意味は大きい。江戸川ケーブルテレビのインターネット接続サービスは,4月に開始される予定で,名称は「えどがわ@NetHome」。伝送スピードは,最大で下り768Kbpsになる見込みだという。

 一方,自社のサービスエリア拡大に伴い,バックボーンのキャパシティ向上も進んでいる。「既にギガビット級のキャパシティを持っている。この容量を有効活用し,ISPへのバックボーン提供や他社との相互接続によるサービス拡大など,各種付加価値サービスの導入にも積極的に取り組む方針だ」(廣瀬氏)。

 なお,同社の今期(2001年1月〜2001年12月)売り上げ目標は62億円。通信回線の増強や人件費,事業立ち上げに関する諸費用などから,期末損失は30億円になる見通しだという。

世界大百科事典を1年間無料で

 事業説明会では,これからサービスを開始するいくつかのコンテンツが披露された。同社は,既に22社のコンテンツ・パートナーを確保しており,昨年12月には豊富なビデオコンテンツを持つ米Centerseatとの提携も発表されている(2000年12月19日の記事を参照)。現在のところ,Centerseatとの協業による成果を披露するまでには至っていないが,春以降にスタートする新しいコンテンツが発表された。

 まず,無料で提供される「BASICサービス」には,今春からアットホームとの提携による不動産情報および物件検索,インプレスの「テクノロジーニュース」,パルコ・ドット・ティーヴィーのライフスタイルに関する情報,そして日立システム&サービスの「ネットで百科」という4つのサービスを追加する予定だ。ネットで百科は,約8万3000の項目を収録した「世界大百科事典」をオンラインで検索・閲覧できるというもので,1万点におよぶ図版や,関連項目へのリンクを設けて検索性を向上させた点が特徴。既に,他サイトでもサービスが行われているが,アットホームジャパンコンテンツ編成部の河野真太郎部長によると,「通常は年間4800円の利用料がかかるが,@NetHomeでは今後1年間無料で提供する」という。

 また,有料の「PREMIUMサービス」では,エスコムによるオンライン英語講座「ESCOM WebTV」,ヴィアール・ワンのネット対戦ゲーム「リアルカーシュミレーション」,イーブックイニシアティブジャパンの「E-Book」を春に開始。さらに,パイオニアミュージックサテライトが提供する「ふりカラ」が来秋にも提供される予定だ。ふりカラは,音楽に合わせて3D CGのキャラクターがリアルタイムで振り付けをするカラオケ配信サービス。

 このほか,米QEDSoftが開発した「ブラウザキャラクタシステム」を自社のサーバにインプリメント中であることも明らかにした。このシステムは,3D CGのキャラクターをストリーミング配信し,ユーザーのWebブラウザに重ねて情報を発信する技術。「ブラウザキャラクタシステムは,オンライン広告の新しい手法になるだろう。今後,さまざまな用途を開発していく予定だ」(河野氏)。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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