News 2001年2月28日 10:48 PM 更新

Intelがスケーラブル3D技術をMacromediaに提供,年内にもShockwaveに組み込み

Intelは米Macromediaと共同で,IALで開発したスケーラブルな3Dグラフィック技術を「Shockwave」に実装する。ほかのShockwaveシリーズと同様に無償提供される見込み。

 Intelは,Intel Architecture Lab.(IAL)で開発したスケーラブルな3Dグラフィック技術を米Macromediaと共同で「Shockwave」に実装する。ほかのShockwaveシリーズと同様に無償でダウンロード,あるいはブラウザに標準搭載される見込みだ。正式版のリリース時期は明らかではなかったが,少なくとも年内にはダウンロードできるようになる。

 Intelが開発した3D技術は,再生するコンピュータの能力やインターネット接続の帯域に応じ,ダイナミックにポリゴンメッシュを変化させるというもの。数年前,まだPCの能力が低い頃に,3Dアクセラレータやプロセッサの能力に応じてメッシュを切り替える技術をPCゲーム向けに開発したことがあったが,今回紹介された技術は,それをインターネットに応用したものだ。

 IALマーケティング戦略マネジャーのRoger D. Chandler氏は,「Webブラウザ向けの3D技術はインタラクティブなエンターテイメント分野やインターネットショップ,インターネットを通じた教育プログラムなどに有効だ。しかし,これまでWebで使われてきた3D技術は56Kbpsモデムに最適化されておらず,また3Dを扱うためのPC側のインフラが整っていなかった」と話す。

 しかし,プロセッサの能力が向上し,また3Dアクセラレータの普及も進んだことに加え,今回提供される3Dエンジンを利用することで狭帯域から広帯域までスケーラブルな3DグラフィックをWebコンテンツとして利用することができるようになる。Chandler氏によれば,この技術はアナログ回線の遅いインターネット接続に最適化されており,十分に快適な3Dコンテンツを実現可能だという。一方で,広帯域かつ高速なPCには,細かなモデリングデータを利用することで,コンテンツの品質を向上させることができる。

 Intelの3Dエンジンはまた,3Dモデルを漫画絵のような質感でレンダリングするCartoon Renderingや,溶岩の噴火や水のスプラッシュするシーンを簡単に描けるParticle Systemといった技術も組み込まれている。たとえば,2Dグラフィックや動画も統合されたShockwaveと重ね合わせたときでも,3Dのオブジェクトだけが浮いた印象にならないようにレンダリング可能。動画を3Dオブジェクトのテクスチャとしてマッピングすることもできる。

 Shockwaveは,非Intelプラットフォームでも利用可能なプラグインだが,今回の3Dエンジンはすべてのプラットフォーム用Shockwaveに等しく実装される。ただし,Intelプラットフォーム向けのShockwaveは,MMX,SSE,SSE2といったIntelの技術に最適化され,さらにPentium 4ではソフトウェアレンダリングでも高い質感かつ高解像な3D映像を再生できるという。

 これまで,Web上の3D技術は普及した試しがない。このため,発表された技術によってコンテンツが増加するかどうかの見通しを語るのは難しい。しかし,1億6500万コピーを誇るShockwaveに組み込まれるため,その普及に対してChandler氏は楽観的な考えを持っているようだ。

関連リンク
▼ Intel 3D Software Technologies
▼ Macromedia

[本田雅一, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.