News 2001年2月28日 11:01 PM 更新

ドコモ,4G携帯電話を2006年にも投入──大星会長

NTTドコモの大星公二会長は「IP.net JAPAN 2001」で講演を行い,FOMAと4G携帯電話への取り組みについて語った。


IP.net JAPANで講演を行ったNTTドコモの大星公二会長

 NTTドコモの大星公二会長は2月28日,横浜パシフィコで開幕した「IP.net JAPAN 2001」で講演を行った。IP.net JAPANはブロードバンドインターネットを活用したソリューションの展示会。大星会長は講演の中で,「携帯電話のブロードバンドはまだサービスを開始しておらず,自分がここで講演するのはふさわしくない」と“殊勝”なコメントをしながらも,今年5月開始予定のFOMA,ならびにその後に続く第4世代移動体通信システムについて同社の取り組みを語った。

やってみなければ分からない

 NTTドコモは今年5月に,世界に先駆けW-CDMA方式の第3世代携帯電話サービス「FOMA」を開始する。最大2Mbpsという高速通信が魅力のFOMAだが,当初は384Kbpsのベストエフォート型に抑えられる。ただ,PDC方式の9.6Kbpsから考えれば,これは十分な速度だといえるだろう。気になるのはサービスエリア。5月の時点では東京23区と横浜市・川崎市だけで,8月には国道16号近辺まで拡大されるものの,それでは使いものにならないと考える人も少なくないはずだ。

 ドコモ内部でも通話エリアのことは問題になっているもようで,大星会長は「シングルでいくか,デュアルにするか,社内で議論している」と明かす。ここで言うシングルとは,FOMAだけに対応した携帯電話のことで,上記のサービスエリア以外で使うことはできない。一方,デュアルとは現行のPDC方式とFOMAの両方に対応した端末のことを意味している。ただ,大星会長は「とりあえず,市場の判断を仰ぐことになるだろう」とも話しており,シングル端末を投入して,不評であればデュアルに切り替えるというのが現実的な路線のようだ。

 なお,ドコモでは8月以降に1兆円規模の設備投資を行い,サービス開始からおよそ3年で人工カバー率は97%に達する見通しだ。また,ドコモでは,同時期の契約者数は500万人になると予測する。「(FOMAについては)やってみないと分からないことがたくさんある。世界初ということでプレッシャーも感じているが,とりあえず,予定通り5月にサービスをスタートできればと思う」(大星会長)

4GはPDC方式の「2000倍」

 また大星会長は,FOMAに続く第4世代(4G)携帯電話の計画についても言及した。ドコモは昨年末,米Hewlette-Packardならびに日本ヒューレット・パッカードと共同で,4G携帯電話のストリーミング技術を研究すると発表(2000年12月19日の記事参照)。大星会長は,「4G携帯電話では(PDC方式の)200〜2000倍の伝送速度が実現されるだろう」と強調する。PDC方式の2000倍となると通信速度は20Mバイトに達するが,4Gの導入にあたっては「FOMAの2G帯だけでは行き詰まる。新しい高速帯域を開拓しなければならない」(大星会長)というように,周波数不足が大きな問題となる。

 この点について大星会長は,「政府はIT推進戦略の中で周波数の再分配を打ち出している。高度ネットワーク社会の実現は,低迷する日本経済にとってなくてはならないものだ。4G携帯電話では,4Gまたは5G帯などが考えられる。ドコモでは,その方向で研究開発を行っている」と述べた。「さらに,W-CDMAサービスがアジアや欧州各国で始まれば,日本の端末メーカーは大きな市場を手に入れることができる」(同会長)

 また大星会長は,4G携帯電話の導入時期について,「10年後という計画を打ち出していたが,かなり前倒しで開発を行っている。2006年か2007年あたりには投入することになるだろう」との見解を示した。

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[中村琢磨, ITmedia]

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