News 2001年3月2日 11:16 PM 更新

ブロードバンドで蘇る3DWeb仮想空間──ソニーマーケティング

“VRMLを用いた3Dの仮想空間でショッピングを行う……”そんな夢がブロードバンドの到来とともに復活した。

 ソニーマーケティングは3月2日,3次元表示のWebとストリーミング技術を組み合わせた3DWebソリューション,「SpaceStream」を商品化すると発表した。同時に,ソニーミュージックエンタテインメントは音楽配信サービス「bitmusic」をSpaceStreamを用いてリニューアルする。

 3DのWeb空間を歩き回り,動画を見たり,アバターと会話しながら買い物を行う……。いったんは姿を消したそんなVRMLの夢が,ブロードバンド時代の到来とともに蘇るかもしれない。

 ソニーマーケティングのSpaceStreamは,3次元のWebを作成,表示するためのツールだ。3次元のWebが,部屋を見立てた直方体をカスタマイズしていくだけで簡単にできあがる。壁や床にテクスチャーを貼り,隅に置く観葉植物を選び,商品のプロモーションのためのムービーを選択すれば,3D空間のできあがりだ。ユーザーは,専用のプラグインをダウンロードするだけで,3DのWebを歩き回りながら,買い物ができる。

 SpaceStreamは構築価格300万円から,3月9日から受注を開始する。また,月額5万円からの空間貸し出しというASPのモデルでも受け付ける。

 SpaceStreamの特徴は「仮想空間の中でストリーミング動画を再生できることだ」とソニーマーケティングはいう。QuickTime,Windows MediaPlayer,RealPlayerの3種類のフォーマットの動画を再生させることが可能なのが特徴。また,音源の位置も設定でき,ユーザーが近づくと音が大きく,ユーザーが右を向けば左側から音がする……といった処理が自動で行われる。

 ソニーマーケティングは「3DのWebの技術はやっと実用期に入った」と語る。「ブロードバンド,3D技術,PCの性能アップ,ASPモデルが成熟して」(ソニーマーケティング)3DのWeb技術が真に利用される舞台が整ったというわけだ。

ライバルであるP2Pに勝つために

 bitmusicは,ほかに先駆けてSpaceStreamを採用し,ブロードバンド向けの「for broadband」サイト内に3次元Webによる仮想音楽配信ショップ「bitmusic Virtual Shop powered by SpaceStream」を3月7日に開設する。

 ソニーミュージックエンタテインメント,デジタルネットワークグループの高堂学本部長は,「ブロードバンドになれば音楽配信もやりやすくなるが,Gnutellaもより便利になる。新たな出会いや驚きを提供することでライバル(P2P)に勝つ」と,3DのWebによって単に音楽を購入するだけではなく,音楽と出会えるサイトにするという意気込みを語る。


bitmusic Virtual Shop powered by SpaceStreamでは,BGMを聴きながら店内を歩き回り,楽曲を視聴したり,プロモーションビデオを見ることができる

 SpaceStreamは,続いてエージェント,チャット,アバターの技術を導入していく予定だ。

 3Dの仮想空間を用いたWeb技術は4,5年ほど前にブームになり,消え去ったかに思われた。果たしてブロードバンドの到来とともに,表舞台に返り咲くのだろうか。

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▼ @ソニードライブ SpaceStream
▼ bitmusic

[斎藤健二, ITmedia]

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