News 2001年3月13日 09:45 PM 更新

マイクロソフト,「Windows XP」日本語版ベータ2を披露

コンシューマー向けのWindows 9xと,企業向けのWindows 2000を統合したWindows XP。その日本語ベータ2が公開された。

 マイクロソフトは3月13日,日本の報道関係者向けに「Windows XP」の内覧会を開催した。とはいえ,その内容はあまり踏み込んだものではない。先月,シアトルで米MicrosoftのBill Gates氏が行ったデモンストレーションを,日本語版でなぞらえたもの。発売日,価格など詳細は,年内にリリースされるという以外は依然として謎のままである。


Windows XP日本語版を紹介するマイクロソフト製品マーケティング本部Windows製品部の佐藤秀一氏

Windows XPの位置付け

 ご存じのように,Windows XPはコンシューマー向けのWindows 9x(Me)と,企業向けのWindows NT(2000)とを統合したものであり,Windowsの32ビット化が行われて以降,初めて1つのアーキテクチャへと統合される。これにより,Windows 2000ユーザーが享受している堅牢性,セキュリティの高さと,Windows 9xユーザーが享受しているデバイス対応やアプリケーションサポートの多さをユーザーは同時に得ることが可能になる。

 このことは,「Windows 2000 Professional」を利用する企業内のエンドユーザーにとって,あまり大きな変化ではないかもしれない。しかし,Windows 2000を利用したいと考えながらも,周辺機器やゲームなどのアプリケーションとの互換性問題で利用を諦めているハイエンドのパーソナルユーザーには朗報だ。また,一般コンシューマーユーザーにとっても,セキュリティレベルの強化と堅牢性は大きな意味を持つ。

 またWindows XPにはTerminal Serviceに相当するサーバ機能とクライアント機能が標準で内蔵されており,リモートコントロールで社内のPCを自宅から利用するといったことが可能になる。また,この機能を応用して,何かわからない操作があったときに,ヘルプ依頼をメールで出し,PCに詳しい人にリモートで設定を依頼するといった機能が付加されている。

 なお,Windows XPの名称は,エンドユーザーが実際に触れる機会の多いWindowsに対して与えられる名称とのことだ。Windows XPのコードネーム「Whistler」には,サーバや組込用のバージョンも存在するが,それらにはWindows XP以外の名前が付けられる(カーネルのベースは同じ)。サーバ版はWindows XPよりも1四半期遅れて開発が進められており,まだその名称は決定されていないという。

 そしてエンドユーザーが触れるWindows XPには,かねてより報道されているように「Professional」と「Home Edition」が用意される。Windows XP Professionalは従来のWindows 2000 Professionalの後継,Windows XP Home EditionがWindows Meの後継OSだ。両者は同じソースコードを共有しながら,機能的な違いにより差別化が図られ,Home Editionの上位機能版としてProfessionalが用意される。

 この関係は,Windows 2000 ProfessionalとWindows Me(9x)の関係に似ているように見えて,実は微妙に異なる。もっとも大きな違いはWindows Meが企業のドメイン管理ネットワークに接続できたのに対し,Windows XP Home Editionはドメイン管理ネットワークに参加できないことだ。このほか,Windows 2000でも利用可能なさまざまなネットワーク管理機能をHome Editionでは利用できない。Home Editionは,名前の通り,個人ユースで必要な機能しか組み込まれていないのだ(逆にHome Editionでできて,Professionalでできないことはない)。

Home EditionからProfessionalへ

 仕事で使うなら,家庭用ではなくProfessionalを使ってください,というのがマイクロソフトの姿勢ということになる。ところが,WindowsプリインストールPCの中でも,店頭で購入する製品の多くには,Home Editionが利用されることになるはずだ。たとえば,店頭で購入した自前のPCを会社に持ち込んでも,企業のネットワークに接続できないという問題が出てくるのではないだろうか。

 しかし,マイクロソフトWindows製品部部長の御代茂樹氏によると,Home Editionに特殊なキーを入力することで制限を解除し,Professionalにする機能が入っており,そのためのアップグレードライセンスの販売が行われる予定とのことだ。その際,Home Editionの上にProfessionalを上書きする必要はなく,インストール作業なしで移行することができる(つまり,両者は全く同じプログラムということになる)。

 このほか,ユーザーインタフェースの変化については,別記事で紹介されているスクリーンショットを参照してほしい。

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[本田雅一, ITmedia]

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