News 2001年3月15日 11:59 PM 更新

横浜で“Mixed Reality”を体験する

「仮想世界」と「現実世界」を融合させるMR技術。パシフィコ横浜でこの技術の研究成果発表イベント「MiRai-01」が開催された。

 3月15日,パシフィコ横浜でMR(Mixed Reality)技術の評価イベント「MiRai-01」が開幕した。MRとは,CGなどで描く「仮想世界」と,ビデオカメラなどから取り込まれた「現実世界」を融合させ,3次元空間の中でインタラクティブなアプリケーションを構築する技術。一言で言うと,「従来のVR(Virtual Reality)に実写を付加したもの」だが,リアル空間の情報を得たことにより,エンターテイメントをはじめ,医療・建築・福祉など,さまざまな分野での応用が期待されている。

 イベントの主旨は,1997年1月から推進されてきた「MRプロジェクト」の研究成果発表だ。MRプロジェクトは,エム・アール・システム研究所(基盤技術研究促進センターとキヤノンの共同出資会社)が中心となり,東京大学,筑波大学,北海道大学との共同体制で推進されてきた基盤技術研究プロジェクト。エム・アール・システム研究所の田村秀行氏は,「MRプロジェクトによって,これまでコンセプトレベルだったMRを実体験可能なレベルに引き上げることができた。各種のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)開発に加え,さまざまなアプリケーションが具現化されている」と評価している。

 なお,エム・アール・システム研究所は今後,知的財産の管理会社に移行し,同社の出資会社であるキヤノンが関連技術の継承研究を行う予定だ。キヤノンでは,「次はビジネスモデルを詰めていく段階に移る。MRのプラットフォームを作り,他社とのアライアンスによって提供していく方針だ」としている。

 パシフィコ横浜の会議センター内に設けられた展示スペースでは,MRに関する要素技術やアプリケーションを実際に体験することができる。

SPIDAR-8

 ワイヤーを通じて指の動きを入力するインタフェースデバイス「SPIDAR-8」のデモンストレーション。ビデオカメラで取り込んだ手の映像と,CGのキューブを合成し,モニターに映し出している。手を動かすと,キューブが回るインタラクティブなアプリケーションだ。

 被験者の手に取り付けられた無数のワイヤー。

ELMO

 通信総合研究所(CRL)が開発した「ELMO」(An Enhanced Optical See-Through Display Using LCD Panel for Mutual Occlusion」。実画像とCGが自然な距離感を保ったまま融合させる大型のHMDシステムだ。その秘密は,HMDの上下左右5カ所に設けられたビデオカメラ。取り込まれた画角の差から光学的にオブジェクトとの距離を測定し,適切な場所にCGを挿入する。

 CGと実写の合成というと違和感を感じることが多いが,ELMOを使うと自然に見える(上の画像はサンプル)。「視差のない画像表示が可能になったことで,遠隔医療,建築,ウエアラブルPCなど,さまざまな分野に応用できる」(CRL通信システム部非常時通信研究室の清川清博士)。

The Hand Mouse

 指の動きを検知してポインティングデバイスにするシステム「The Hand Mouse」。眼鏡に装着されたマイクロCCDから画像を入力し,ウェアラブルPCで処理した画像と重ねる。PCのインタフェースをカスタマイズすれば,高齢者向けの入力デバイスなど,用途は広がるという。

 The Hand Mouseの画面。黄色くなっている部分が検知されたユーザーの手だ。「既存のシステムでは,色や形で指を判断するが,それでは撮影条件に左右されてしまう。このシステムでは,視界のどの部分から手が出てくるかを統計値から割り出し,これに色による判別を組み合わせて使っている」(経済産業省産業技術総合研究所電子技術総合研究所知能情報部の蔵田武志氏)。

Contact Water

 ビデオシースルーHMDをかけると,手のひらの上にCGの水面が現れ,イルカが飛び跳ねるというエンターテインメント作品「Contact Water」。この作品は,MRエンターテインメントソフトを公募した「MREC 2000」コンテストの第1回グランプリ受賞作を,キヤノンの3Dシステム開発センターが具現化したもの。

 Contact Waterの参加者には,このように見えている。手のひらから手のひらに飛び移るイルカが女性たちに大ウケ。

今そこにあるMRカー

 MRは,博物館やショウルームでも活躍する。ただ椅子に座っているように見えるこの男性は,実はメルセデス・ベンツの最高級モデルに乗っているつもり。「今そこにあるMRカー」というデモンストレーションだ。

 本人には,このようなインテリアが見えている。MRだから,色や素材を自由に変更することもできる。

 リアルタイムに自動車のCGを生成するエンジンは,SGIのビジュアルワークステーション「Onyx2」2台。技術の進歩によって,こうしたシステムも小型化・低価格化が進むはずだ。近い将来,近所の自動車ディーラーにもMRカーが導入されるのだろうか?

Cybercity Walker 2001

 「Cybercity Walker 2001」と題されたデモ。現実の都市空間を実写映像として丸ごと記録しており,体験者は街の中を自在に動き回ることができる。撮影には,屋根の上に7台ものビデオカメラと各種センサーを積んだ自動車を走らせたという。

サイバー展示館

 「VRML」とか,「QTVR」とか,なんとなく懐かしい言葉が浮かんできそうな「サイバー展示館」。横浜キャラクター・ミュージアムが再現されている。実写のバーチャル博物館をウォークスルーできる。

SOUND-EYE

 岩井俊雄氏のエンターテインメント作品「SOUND-EYE」。ビデオシースルーHMDとヘッドホンを装着した被験者が,さまざまな図形が描かれた空間に放りこまれる。HMDに内蔵されたビデオカメラが図形を捉えると,色情報が音楽に変換され,ヘッドホンから聞こえてくるという仕組み。視線を動かすと音楽も変化する。

[芹澤隆徳, ITmedia]

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