News 2001年4月16日 09:33 PM 更新

コスト削減を謳うNRIの新コンテンツ配信システム

野村総合研究所と米Digital Fountainがコンテンツ配信システムの開発および販売で提携した。

 野村総合研究所(NRI)は4月16日,米Digital Fountain(DFI)とデジタルコンテンツ配信分野に関する技術協力および販売提携を発表した。NRIは,DFIの特許技術「メタ-コンテンツ」をベースとしたコンテンツ配信システム「Aqualink」を開発し,6月より販売する。

 メタ-コンテンツの基本技術は,ファイルを専用形式のパケットに分割することで,複数のコンテンツが混在した形で送出できるようになるというもの。クライアントから来た複数の要求に1台のサーバと1つの経路で対応できるのがメリットだ。通常のユニキャスト通信で大容量ファイルを複数のユーザーに送信する場合は,相応のバックボーンと(サーバの)処理能力を求められるが,同社の試算によると「(Aqualinkを使って)同じパフォーマンスを得るためにかかるコストは,現在の10分の1程度で済む」という。

 また,従来のマルチキャスト配信では,受信中にパケットロスが起こった場合,もう一度受信し直すか,別経路でエラーパケットを補う必要があったが,Aqualinkではサーバがそのコンテンツを送出し続けていれば,後からきたパケットを使って欠けた部分を補うことができる。逆に,複数のAqualinkサーバから同一のコンテンツを並行して受信し,ダウンロード時間を短縮することも可能だ。Aqualinkはファイルの種類を選ばないため,コンテンツビジネスから企業内ネットワークまで,幅広い用途に利用できる。

 来日したDigital Fountainの社長兼CEO,Clifford Meltzer氏は,「ブロードバンドインフラの普及とともに,ユーザー数とコンテンツ容量はますます増えていく。Aqualinkを使用すれば,サーバやバックボーンネットワークのコスト削減と信頼性の向上を図ることができる」とした。なお,パケット化されたコンテンツの総容量は,元データの105%程度になるという。パケットの数やサイズは管理者側で指定できる。

 Aqualinkでは,クライアント側にパケットを結合するための専用ソフトが必要だ。現在はWindows 98/Me/2000版のみだが,今後はLunixをはじめとする各種UNIX版にも対応し,フリーウェアとして公開する予定。さらに,モバイル機器向けのクライアントソフトも開発する見込みだという。ただし,Mac OS版の予定はない。

 システム価格は,「SI(システムインテグレーション)サービス込みで2500万円から1億円程度」(NRI)。課金管理やユーザー認証といった関連システムとの拡張インタフェース機能も提供される予定だ。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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