News 2001年4月26日 11:53 PM 更新

SCEI,プレイステーション2用Linux「PS2 Linux」をリリース

SCEIは,Linuxコミュニティ向けにPS2用LinuxやHDD,USBマウス/モデムなどを発売する。価格は2万5000円。

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は4月26日,Linuxコミュニティでのプレイステーション2(PS2)用Linuxの公開を求める運動の盛り上がりを受けて,PS2用Linuxキット(ベータ版)「SCPH-10270K」を6月より発売すると発表した。


HDD,USBマウス・キーボードなどが付属する

 このキットは,PS2上で動作するLinux「PS2 Linux」のインストールディスク(DVD-ROMに収録),100BASE-TXインタフェース装備のPCカード接続型HDD(40Gバイト),USBキーボード/マウス,ならびにVGAアダプタで構成され,価格は2万5000円。ただ,「Linuxコミュニティに向けたもの」(SCEI)という位置付けのため,初回出荷数は1000と非常に少ない。

 また,PS2用Linuxキットは,PCカード接続のHDDを同梱しているため,新型PS2(SCPH-30000)には対応しない(現在検討中)ほか,Linuxの画像をテレビに出力することはきない。

PS2で3Dグラフィックスの分散レンダリング

 Linux関連のサイトでは,SCEIに「PS2で動作するLinux」の公開を求める運動が活発化。例えばpenuts.or.jp/pslinuxというサイトでは,GPL(GNU General Public Licences:一般公共使用許諾契約書)でPS2用Linuxの公開を求める署名運動を実施し,4月26日時点で国内約4500名,海外約1500名から署名が集まっている。

 penuts.or.jp/pslinusの管理者は,PS2用Linuxの公開を求める理由として,LinuxがGPLで配布されていることに加え,「PS2の高度な3Dグラフィックス演算能力を使えば,分散レンダリングのクライアントとして効果を発揮する」ことなどを挙げている。

 PS2 Linuxは,RedHat系Linuxをベースにしたもの。,カーネルは2.2.1と2.2.18の一部を採用。APIとしてPS2専用低レベルグラフィックスライブラリなどを備えている。また,公開されるのはGPLにより開示が義務付けられている部分のみで,PS2 Linuxカーネルの読み込み/起動や,I/Oサブシステム制御インタフェースを提供する「Runtime Enviroment」のようにSCEIが権利を有しているものは非公開となる。

 初回に出荷される台数が限られるため,購入希望者が本当にLinuxコミュニティに属するのかどうかということは大きな問題だ。これについてSCEIでは,「PS2用Linuxキットには基本的なLinuxの操作方法に関する入門者向けマニュアルは含まれない」としており,Linuxを「ある程度」(同社)扱えることが最低条件になるようだ。

関連リンク
▼ PlayStation2で動作するLinuxを公開してもらうための署名運動
▼ PS2とLinux
▼ PS2 Linux公式ページ
▼ ソニー・コンピュータエンタテインメント

[中村琢磨, ITmedia]

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