News 2001年5月14日 09:51 PM 更新

18インチで10万円を切る? 液晶ディスプレイの価格破壊――ディナー

低価格液晶ディスプレイで注目を集めるディナー。Web直販中心のローコストオペレーションが目指すものとは――

 液晶ディスプレイの価格が今年に入って急落している。15インチXGA(1024×768ピクセル)では,昨年の同時期に比べて約半分の値段という状況。安いだけでなく,コントラスト比200:1〜400:1,輝度250〜400カンデラ/平方メートルの明るく見やすい高性能液晶を採用した製品も増えている。省スペースという液晶ディスプレイのメリットを生かして大画面&高精細化への要求も高まっており,今年後半から年末にかけては,現在主流の15インチXGAから16〜18インチSXGA(1280×1024ピクセル)へと売れ筋がシフトするのでは,との業界筋の見方もある。

 ディナーは,昨年9月に液晶ディスプレイ市場へ参入。ダイレクト販売のメリットを生かし,業界を震撼させる低価格を次々と打ち出している。大森哲夫副社長に低価格戦略と今後の方針について聞いた。


ディナーの大森哲夫副社長

ZDNet なぜ低価格が実現できるのか?

大森 液晶ディスプレイに特化した専業体制と,Web直販中心などローコストオペレーションによる徹底した販売管理費の削減でこのような低価格が実現した。国内大手メーカーが数多く採用している台湾Pro Arch Technologyなどの高性能液晶パネルを使用しているので,スペック的にも自信がある。また,液晶パネル生産が増えている台湾や韓国などに太い人脈を持っており,長年エレクトロニクス業界に携わってきたスタッフが多いのもディナーの強み。

ZDNet 現在の月間販売台数と年間売り上げ目標は?

大森 昨年はユーザーの意見を聞くトライアル期間としていたため,本格的な液晶ディスプレイ市場参入は今年1月から。1〜2月は月250台で推移していたものが,3〜4月には月500台と2倍のペースに増加。5月は新製品を発表したゴールデンウィーク明けから急激に台数を伸ばしており,単月で850台はいきそうな勢い。1〜12月で15億円の売り上げを目標としている。

ZDNet 現在の人気商品は?


4万円を切る低価格を実現したAT141C1
大森 どの商品も人気だが,特に4月23日に値下げを行い,4万円を切る低価格を実現した14.1型TFT液晶ディスプレイ(AT141C1,3万9800円)が好調。XGA表示で輝度,コントラスト比ともに十分なスペックを確保している点以外に,薄型で近未来的なデザインもユーザーに支持されている。また,画面を90度回転させて縦型で表示できる商品も問い合わせが多い。

ZDNet 新製品の予定は?

大森 TVチューナー内蔵タイプやタッチパネルタイプを6月末頃にリリースする予定。また,詳しくは言えないが業界がアッと驚く低価格高スペック商品も用意している。低価格だけでなくクオリティ重視で付加価値の高い商品を提供していく。

ZDNet ショップなど店頭販売の予定は?

大森 現在,販売チャンネルとしてはWeb直販が70%弱とインターネット販売が売り上げの中心。一方でダイワボウ情報システム,カテナ,サンテク,菱友計算といったディーラー経由での販売も増えており,売り上げ全体の1割強を占めている。LAOXやT-ZONE,九十九電機などのパソコン量販店や大手家電量販店ルートでの販売も決まっており,6月頃から市場でもディナーの商品を見ることができるだろう。6月以降,銀座と恵比寿にショールームを設置する予定。

ZDNet 液晶ディスプレイ市場の展望と今後の取り組みについて。

大森 今年は液晶ディスプレイが大ブレイクするとみている。今年後半には17〜18インチでも10万円を切る低価格商品が市場に登場するだろう。ディナーは「価格のリーダー」として,常に市場の動きに先んじて対応していく構え。液晶ディスプレイのみにフォーカスする専業メーカーとして,ユーザーの声が反映できる直販のメリットを生かしていく。

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[西坂真人, ITmedia]

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