News 2001年5月17日 11:59 PM 更新

インテル,XScaleベースの携帯端末向け統合チップを生産へ

インテルは,携帯電話やワイヤレス通信機能付きPDAに使用される主要コンポーネントを1つの半導体チップに混載する,新しいプロセス技術を発表した。

 インテルは5月17日,XScaleを携帯電話メーカーに売り込むための新しい武器を発表した。携帯電話をはじめとする通信機能付き携帯端末の主要コンポーネントを,1つの半導体チップに混載する「ワイヤレス・インターネット・オン・チップ」(インテル)の製造プロセス技術だ。これにより,パフォーマンスアップと省電力の両立を図り,高機能化が進む携帯電話市場に訴求する。

 XScaleは,StrongARMをベースにインテルが開発した組み込み用途プロセッサ。現在のところ,50MHz(消費電力10ミリワット)から800MHz(同1ワット)までの製品があるが,インテルの狙う携帯電話市場には未だ浸透せず,同社はメジャープレーヤーになれないでいる。

 そのXScaleマイクロアーキテクチャと,フラッシュ,アナログ通信回路を同一シリコンに載せ,0.13μメートルプロセスで量産するというのがワイヤレス・インターネット・オン・チップ技術の骨子。ロジック部とメモリを統合することで外部バスを省き,メモリアクセス性能の向上と低消費電力化を実現する。同社によると,メモリアクセス性能は個別のチップを搭載した場合に比べて5倍,消費電力は5分の1になるという。

 また,パフォーマンス面も犠牲にはしていない。インテル,ワイヤレスコンピテンシ・センターの内海弦部長は,「混載するXScaleコアは,単体で出荷されているものと全く同じ。最大1GHzで動作させることが可能だ」と話す。インテルは,2000年夏のIDFで1GHz動作するXScaleを披露したが,その際のMIPS値は1270を記録した。動画を扱う端末では250MIPS以上のパフォーマンスが必要になるといわれているが,XScaleは200MHz前後でこの値をクリアする。

 また,内海氏によると,顧客の要求に合わせてメモリ容量やアナログ通信部分を変更し,量産することも可能だという。現在のところ,アナログ通信回路はPDCとTDMA(IS-136)をサポート。「モジュラー方式を可能にする製造プロセスにより,多用な組み合わせの製品を実現できる。大容量のメモリを必要とする端末なら,外付けのフラッシュを追加することも可能だ」(内海氏)。

 インテルでは,このプロセス技術による統合チップの量産を,2002年中に開始する構えだ。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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