News 2001年6月1日 07:29 PM 更新

理想のコンパクトデジカメは何処に

 「IXY DIGITAL 200」を買った。先週の金曜日,朝の開店をねらってショップを訪ねたら,発売日は翌日と聞いて愕然。入荷数が未定のため,確保の保証はできないが,予約を入れておくことを勧められた。

 予約が功を奏して,めでたく入手。もっとも,商品を取りに行ったのは日曜日だったが,その時点でも,まだ,在庫はたくさんあったようなので,そんなに急ぐ必要はなかったのかもしれない。

 この1年,コンパクトタイプのデジカメは,個人的にはコダックの「DC4800Zoom」一辺倒だった。初代のIXY DIGITALは,コンセプトは素晴らしかったし,大きな不満もなかったのだが,DC4800Zoomの28mmという画角の魅力とともに,やはり,このカメラが再現する色の魅力に,初代IXY DIGITALは勝てなかった。だからこそ,今回,装いも新たに登場したIXY DIGITAL 200が,どのくらい進化しているのかを,自分の目で確かめたかった。


DC4800Zoom(左)と IXY DIGITAL 200

 購入後,まだ1週間もたっていないのだが,続々と発表される各社の小型デジカメの数々に,ちょっと早まったかなという気持ちがないでもない。でも,1年前に感激した軽快感は,IXY DIGITAL 200でも失われることなく,やっぱりこのサイズなんだよと痛感した。気になっていた画質や色にも大きな不満はない。できあがる写真は,初代のものとは別物といっていい。

 この製品の評価でよく話題になるのは,デジタルズームを禁止できないため,ズームレバーを操作したときに,光学ズームのテレ端から,そのままデジタルズームに切り替わってしまうという仕様だ。ただ,実機を手にして操作してみると,レバーを操作し,テレ側に押しっぱなしにしても,いったんズームは止まる。そこで手を離し,もう一度ズームレバーを操作するとデジタルズームに移行するようになっている。また,電源オフによって,ズーム位置はワイド端に戻るので,知らないうちにデジタルズームになっていたという失敗は,あまりなさそうだ。また,モニターオフの状態では,デジタルズームに切り替わることはない。

 ズーム位置を記憶しない点は,この製品に限っていえば歓迎だ。というのも,ポケットからパッと取り出してパッと撮るという使い方では,最初に広角で被写体をとらえた方が,シャッターチャンスを逃しにくいと思うからだ。2倍ズームというのも,この仕様が許せる大きな要因だ。これが3倍ズームの「IXY DIGITAL 300」では,また違った感想を持つかもしれない。

 初代との違いに関しては,その専用電池の充電器のサイズにも感動した。なにしろ本体サイズとほぼ同じで収納性もいい。これなら鞄の片隅に放り込んでも気にならない,旅行のときにも気軽に持っていけるだろう。

1年前のきょう体に“1年後”の技術

 初代のIXY DIGITALでも感じたように,DC4800Zoomを使っているときと勝手が違って気になるのは,TFT液晶にカメラ情報が表示される点だ。DC4800Zoomは,残り撮影枚数やストロボの状態,マクロ,遠景モードなど,最低限の情報を,カメラ上部の小さな反射型液晶に表示する。そのため,TFT液晶を完全にオフにしても,最低限の情報は確認できた。

 でも,IXY DIGITALでは,最初の数秒間だけ情報を表示し,あとは消えてしまい,液晶オフでは,何も分からなくなってしまう。この点は,新機種になっても変わらない。ただ,DC4800Zoomの反射型液晶では,暗いところでカメラの状態を知るのがたいへんだったので,暗いプレゼンテーション会場などでは,ちょっと不便を感じることもあったが,IXY DIGITALでは,その逆に,明るいところで苦労する。

 もっとも,液晶の視野率100%という優れた値に対して,光学ファインダーの視野率は80%しかなく,話にならない程度のものなので,結局このカメラでの撮影には,フレーミングにどうしても液晶モニターがほしくなる。DC4800Zoomも,光学ファインダーの視野率はお世辞にもよいとはいえなかったが,かなり光学ファインダーに頼って撮影していたので,また,慣れるまでには時間がかかりそう。さらに,シャッターを切ってから,プレビューが表示されるまでの時間が若干長いのも気になるところだ。

 結局,旅行にはDC4800Zoom,普段の持ち歩きや取材にはIXY DIGITAL 200と,使い分けることになりそうだ。まだ,1台のカメラにすべてを託せる段階にはきていない。

 こうした不満はあるものの,1年前と同等のきょう体に“1年後”のテクノロジーを詰め込んで具体的に製品化したキヤノンの姿勢には敬意を表したい。これを10年続ければ,素晴らしい製品ができそうだし,実際にチャレンジしてほしいものだ。本当のことをいうと,前作が手元にあるのだから,新しく投資するほどのことはないなという気持ちもなかったわけではない。でも,実際の製品を手にした今,けっこういい買い物だったと,それなりに満足している。来年の今頃,さらに新しくなったIXY DIGITALが登場するなら,つきあうんだろうな,きっと。

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[山田祥平, ITmedia]

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