News 2001年6月15日 23:55 PM 更新

サーバ分野でも期待のCrusoe――ホームサーバにも

モバイル分野で注目のCrusoeだが,少ない発熱量や省電力を活かしてサーバ分野での活躍も期待されている。

 低消費電力というメリットから,ノートPCなどモバイル分野で注目のCrusoeだが,少ない発熱量や省電力を活かしてファンレス設計ができ,併せて小型化による高密度設置が実現できるなど,サーバ分野での活躍も期待されている。

 米Transmetaが6月14日に開催した「Crusoe Seminar 2001」では,低電力チップの新たな用途として,Crusoeを超高密度インターネットサーバで活用することが提案された。

 Transmeta創設者でCTO(最高技術責任者)のDavid R. Ditzel氏は,限られた場所や電力で多くの処理パワーを要求されるデータセンターや,電力不足問題が深刻となっているカリフォルニアの例を挙げ「スペースや消費電力当たりの最大パフォーマンスが重要」と訴え,RLX TechnologiesのCrusoe搭載サーバを紹介した。


Crusoe採用のRLX Technologies製サーバ

 RLX Technologiesは,Compaq共同創設者の1人であるGary Stimac氏が興したベンチャー企業。同社サーバはピザボックスデザインの標準的な1Uラックマウント型サーバを採用せず,「Blade」と呼ばれる垂直型のデザインを採用しているのが特徴。Crusoe搭載で放熱量も低く抑えられ,サーバの集積度を高めることができるという。


標準的な1UサーバとBladeとの比較

 Carp氏は,Crusoe(TM5600)を搭載したRLX Technologiesの「RLX System 324」と,Pentium III搭載サーバ「Compaq DL320」とを,パフォーマンスと密度という観点から比較し,1秒当たりのWebページ量を1ラック当たりに換算。RLXサーバが5倍の優位性を持つことを訴え,「Crusoeテクノロジーは,サーバビジネスを抜本的に変えていくもの。日米の多くの企業が,私達に熱い視線を送っている」と語った。


パフォーマンスと密度という観点から比較

 セミナー会場の外では,日本メーカー各社がCrusoe搭載PCを展示していたが,その中で日本電気米沢(NEC米沢)は,Crusoe搭載の小型サーバ「CS56シリーズ」を紹介していた。


CS56シリーズ

 CS56シリーズは,ノートPCと同等の低消費電力(約20ワット以下)を実現。低消費電力化により,冷却用ファンをなくして高い静粛性を実現している。省電力でファンレスを実現するというCrusoe技術は,これから普及するであろうホームサーバにこそ応用してほしい機能だが,同社によると「実は,ホームサーバを意識して設計された製品」とのこと。

 UPS内蔵,RAID対応などサーバとしての基本性能も装備しているほか,背面にPCカードスロットやUSB/LAN,各種レガシーポートを装備し,PCIスロットも2基用意するなど拡張性も高い。


さまざまなインタフェースを装備するなど拡張性も高い

 5月25日から受注受付を開始しており,6月末に出荷予定。OEM価格は500台/ロット時で1台13万8000円から。中小企業などビジネスユースをメインターゲットとしているCS56シリーズだが「個人ユーザーからの問い合わせも多い。家庭用ではHDDレコーダーなど用途も拡がる。ホームサーバとしては10万円を切る価格を目指したい」(同社)という。

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[西坂真人, ITmedia]

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