News 2001年6月15日 05:17 PM 更新

意外に使える(?)Lモード(1)

いよいよサービスがスタートする「Lモード」。iモードの二番煎じと思われているLモードだが,その実力や如何に?

 「Lモード」のサービス開始が6月29日からと迫ってきた。家庭向けのサービスとして,デジタルデバイトを解決するツールになるかどうか,いよいよ市場に問われることになる。ところでこのLモード,その名称からか“iモードの固定電話版サービス”といった口上で説明されることが多い。一般的には,iモードの二番煎じと思われているLモードだが,実は,iモードにはないいくつかの工夫が込められているのだ。


大きな液晶画面が特徴のLモード対応電話機

打ちやすい“pipopa.ne.jp”

 例えば,Lモードでもらえる「Lメール」のドメイン。“pipopa.ne.jp”(ピポパ・ネ・ジェーピー)である。一見して,ダサいと思われかねないドメインだ。正直,筆者もそう思った。だが,ここにもちょっとした工夫がある。pipopaは,電話機のボタンで打ちやすいのだ。iモードの場合と比べよう。

 iモードのドメイン名は,“docomo.ne.jp”だが,docomoを入力すると次のような操作が必要になる。まず,ダイヤルボタンの「3」(DEF)を1回,「6」(MNO)を3回,「2」(ABC)を3回,「6」(MNO)を3回,続いてカーソルを1回押して「6」(MNO)を1回,またカーソルを1回押して「6」 (MNO)を3回と合計16回ボタンを押すことになる。

 これに対して,Lモードのpipopa.ne.jpだとどうか。pipopaならば,「7」(PQR)を1回,「4」 (GHI)を3回,「7」(PQR)を1回,「6」(MNO)を3 回,「7」(PQR)を1回,そして「2」(ABC)を1回と,iモードよりも6回も少ない10回で済む。1回のボタン押しで済む「P」の繰り返しが多いため,感覚的には,docomoよりかなり操作が少ない感じがする。

 Lモードのメールの位置付けは,“カエルコール”ならぬ“カエルメール”。つまり,帰宅の連絡などちょっとしたことをメールで送るといった,留守番電話に近い使われ方を想定している。とするならば,送信にかかる操作もそれだけ簡略にできたほうがありがたい。電話を想像させるドメイン名でかつ,ボタン操作も簡単に。電話会社のサービスだけに,電話機を長く扱ってきた経験がさりげなく表れている。

情報は,やっぱり「紙」で持ち運ぶ

 iモードの大きな優位点は,そのパーソナル性とモバイル性だろう。いつでもどこでも身に着ける装置であり,直接個人を対象にしてサービスできるのがiモードのメリットだ。電話機が家庭に設置される機器である以上,個人へのダイレクト性という面ではiモードに負ける。だがLモードには利用者を限定する別の手段がある。

 それは,地域の特定が可能なことだ。Lモードでは市外局番ベースのおおまかな地域情報がコンテンツ事業者には通知される仕様になっており,天気予報やTV番組表のサービスでは,その地域に合わせた情報を自動で提示することができる。また,モバイル性という面ではiモードにかなうはずもないと思うかもしれないが,Lモードにも強力なモバイル性能が備わっている。FAXのプリント機能の利用だ。FAX機能付きのLモード電話機を購入していれば,情報は紙に打ち出すことができる。情報を紙に乗せ換えることさえすれば,何も電話機やらモバイル端末やらを持ち運ぶ必要はない。地図や時刻表のサービス,オンラインクーポンやチケット発行サービスでの利用や,あるいは保存用としてのメールのプリントなど,利用シーンは豊富に考えられるだろう。


Lモードの情報は紙にプリントアウトできる。フィーチャーしたい機能の1つだ

 また,単なる印刷だけでなく,Lモードのタグとして,FAXと連動する機能「FAXTO」が規定されている。コンテンツ事業者がFAX サーバを用意しなければならないが,回線経由でFAX宛に情報送信する形をとれるようにもなっている。携帯電話という情報の器ごと情報を持ち運ばないといけないiモードに対し,情報の器と情報そのものを切り離すことができるL モード。iモードにはない新たな可能性を秘めていると思う。

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