News 2001年6月19日 08:45 PM 更新

“陽の当たる場所”を求めるBluetooth(2)

端末の普及ありき

 アクセスポイントがアドレスを認識したBluetooth端末に,ローカルエリア情報を配信する――今回のホットスポット進出はこのビジネスモデルに集約されるが,それでも残る疑問がある。それは,Bluetooth対応機器の普及の遅れだ。

 エリクソンでニューアカウント事業本部長を務める鈴木寛氏は,「当初の予測よりは遅れているものの,2005年までにBluetooth対応機器は7億台になる」と強調するが,現在の状況は苦戦と呼べるほどだ。そして,Bluetooth対応機器が少ないとうことは,ホットスポットを利用するユーザーも少ないということになる。今回の実証実験では,2002年の商用化を目指している。それまでにどれだけのBluetooh対応機器が出荷されるのか。

 B.L.T.では,実験において,運営者側で用意したBluetooth対応のPDA/PCをモニター(100名を募集)に貸し出すほか,Marunouchi CafeやSo-net Cafeには対応端末を常設することになっている。ユーザーが自分のBluetooth機器を持ち込んでも,使うことはできない。

 携帯電話はというと,これはB.L.T.の実験計画には組み込まれていない。J-フォンの「J-スカイ ステーション」のようのに,携帯電話なら地域情報をインターネットから直接ダウンロードすることも可能だが,Bluetoothアクセスポイントから情報を取得できれば,通信料がかからないというメリットがある(ただ,この点についてB.L.T.では本格サービス化の際に有料化することを考えており,無料で利用できるというわけではないが)。

 その携帯電話について,エリクソンの松澤氏は「事業者がなかなか積極的にならない」と漏らす。Bluetoothを携帯電話に搭載すると,利用者が事業者の通信網を使わずにピア・ツー・ピアでチャットすることなども可能になり,「通信料が徴収できなくなる」と敬遠されてしまうという。ホットスポットでの情報提供も,通信事業者のメリットが明確にならない限り,参加の可能性は低い。つまり,「端末メーカーが力を持つ欧米とは異なり,国内では通信事業者が大きな決定権を握っている」(同氏)という事情によるものだ。

 ホットスポットでBluetooth端末にローカルエリア情報を配信するというビジネスは,あまり良いニュースがなかったBluetooth陣営を活気づかせるかもしれない。だが,ホットスポットを展開することでBluetoothが普及するのではなく,Bluetoothが普及した段階でホットスポットというビジネスが成り立つことは間違いないだろう。

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[中村琢磨, ITmedia]