News 2001年6月21日 11:59 PM 更新

いよいよ離陸かIP電話──ケーブルテレビ2001で大きな注目

VoIPによるインターネット電話は,以前から注目を集めていたが。CATVインターネットの普及によりいよいよ普及段階に入るか。

 池袋サンシャインシティで開催中のCATV関連総合イベント「ケーブルテレビ2001」。「ハードウェア」「ソフトウェア」「サプライヤー」に区切られた3つのゾーンには,CATVインターネットの盛り上がりもあってか,過去最大の183社が出展している。主催は,社団法人日本CATV技術協会,社団法人日本ケーブルテレビ連盟,ならびにケーブルテレビ番組供給者協議会の3団体。開催期間は,6月22日までとなっている。展示会の入場は無料。

 ハードウェアゾーンの展示は,CATV事業者向けの放送設備やケーブル類がメインだが,VoIP(Voice over IP)製品や無線LAN製品など,CATVインターネットを利用する個人ユーザー向けの製品も出展されている。例えば,三菱電機は,固定電話機用のIPテレフォニ―ユニット「IP Talk」を参考出品。IP Talkを利用すると,音声データ交換のためのHTTP中継サーバを介して,インターネット経由で通話を行える。その際,通話相手側にもIP Talkを用意しなければならない。また,IP Talkは繋がっている電話機の番号を記憶し,常に中継サーバに呼び出しがないか確認しにいくことで,「DHCPによって動的にIP TalkにIPアドレスが割り振られている場合でも,確実にセッションを組める」(三菱)という。


三菱のIPテレフォニユニット「IP Talk」。今秋発売予定で,価格は5万円以下になる見込み

 また松下電送システムは,インターネット電話アダプター付きケーブルモデムを参考出展。これは,「NetWorld+Interop 2001 Tokyo」などで展示済みの製品だが,ケーブルテレビ2001でもデモンストレーションが大きな注目を集めている。


VoIPのデモ。終了後に「何のデモだったんですか」と聞くユーザーも……

 松下電送システムの浅田善忠氏は,固定電話用のVoIPアダプタは「CATV事業者がインターネット電話サービスの一環として配布する。テレビ番組,インターネット接続と並んで,収入の大きな柱になるはず」と説明する。固定電話機にVoIPアダプタを接続する場合,PCソフトから固定電話にIP経由で通話するのとは異なり,通話相手側にもVoIPアダプタを設置しなければならないが,浅田氏によれば「米国のCATV業界では,VoIPのプロトコルとしてMGCPが標準になっているが,国内ではMGCPでいくのかH.323なのか,もしくはSIP(Session Initiation Protocol)なのかまとまっておらず,互換性は保証されない」状況だという。ただ,「事業者側で,プロトコル変換装置などを用意すれば解決できる部分もある」(同氏)。

 また,愛知電子は,CATVインターネットによるVoIPの導入事例として,「和田山町ケーブルテレビわくわくネットワーク」を紹介している。これは,兵庫県朝来郡和田山町で町内5500世帯にVoIP対応ケーブルモデムを配布し,町民同士なら無料でインターネット電話を利用できるようにしようという試み。現在,各家庭への回線引き込み工事を行っている最中で,今年11月に試験サービスを開始し,2002年春には本格スタートする見込みだという。


本体の横には,“世界初! セキュリティ機能搭載”と注意書きがある

 VoIPではないが,愛知電子では, 日本エリクソンの「PipeRider HM204」を参考出展している。HM204は,米Check Point子会社であるSofaWareの「Safe@Home」をベースにしたファイアウォール機能を備えているのが特徴。さらに,本体上部の「PipeLock」ボタンを押せば,データ転送の開始/中断を操作することがでる。「インターネットにアクセスしていないときには停止状態にしておくことで,常時接続でも外部からの侵入を防ぐことが可能だ」(愛知電子)

 一方,サプライヤーゾーンには,CATVでコンテンツを提供する企業が出展している。中でも,人気を集めていたのがCATV利用者向けのインターネット接続サービス「@NetHome」を運営しているアットホームジャパンのブース。同社ブースでは,CCDカメラを利用した動画ホスティングサービス「@NetEye」のデモンストレーションを行っている。これは,PCに接続した小型カメラの映像をユーザーがインターネットに公開できるというもの。映像を表示している最中にブラウザ上から,カメラの向きを左右上下に変えることもできる。@NetEyeは,8月より試験サービスが始まる予定だ。

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[中村琢磨, ITmedia]

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