News | 2001年6月22日 08:47 PM 更新 |
【国内記事】 | 2001年6月22日 08:47 PM 更新 |
サンフランシスコで開かれたWindows XPのワークショップのため渡米する際に,少し早く日本を出て,ヨセミテ国立公園に行って来た。
日本を出るときに,最近の流行モノの音楽CDを10枚ほどCD-Rに焼いて持参したので,クルマの中ではずっと繰り返しそれを聴いていた。ベイエリアにいるなら,それこそ洪水のように音楽を流してくれるFMラジオ局で充分楽しめるのだが,さすがに,ヨセミテのような田舎まで行くと,それほど多くのラジオ局が受信できなくなってしまい,ちょっと寂しい思いをする。
J-POPを聴きながら公園内をドライブするのもちょっと不思議な感じがしたが,大渋滞のベイブリッジを渡りながら,これだけクルマがいても,きっと「モーニング娘。」を聴きながら橋を渡っているのは,ぼくくらいのもんだろうなと,一人,悦に入っていた次第だ。
今回は,借りたレンタカーに,たまたまCDプレーヤーが積んであったので,持参したCD-Rを存分に聴くことができたが,カセットデッキしかないクルマだって多い。こういうときは,シガーライターに装着すると,FM電波で再生音を飛ばしてくれるようなシリコンオーディオプレーヤーがあったら便利だろうなと思った。電池を気にすることなく大容量のコンパクトフラッシュに記録した音楽を際限なく聴ければとても便利だ。もしかしたら,そういう製品は,すでに存在するのかもしれないけれど,ないなら,是非,作ってほしいものだ。
デバイスが世代交代するときには,その世代をつなぐブリッジとしてのデバイスが必要になる場合がある。おそらく今後は,クルマに搭載されたCDプレーヤーが,CD-Rに焼かれたMP3やWMAファイルを再生したり,すでにパイオニアの製品にあるように,CDの内容をハードディスクにキャッシングしたり,あるいは,メモリカードスロットを持って,その中のファイルを再生したりといったことが当たり前のようにできるようになるだろう。
ところが,実際に,それが当たり前になるまでには,それなりの時間がかかる。そのつなぎとして,先のシガーライター装着のシリコンオーディオプレーヤーのようなデバイスが欲しくなるわけだ。
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パイオニアのHDD搭載カーナビ |
思えば,音楽を供給するメディアは,アナログのLPレコードからコンパクトディスク(CD)へと,かなり急激に移行した。アッという間に,レコード屋がCDショップに切り替わった印象がある。結果的に,その間をつなぐデバイスは存在しなかったように思う。たとえば,CDとLPが両方かかるようなプレーヤーにはお目にかかれなかった。これが,VHSとDVとなれば,両方を再生できるダブルデッキはあるのにだ。
今でこそ,アナログレコードが復権し,LPを再生するデバイス,すなわち,レコードプレーヤーの入手に,それほど困ることはなくなったが,一時は,ピックアップカートリッジの針を入手するのさえ困難になりそうな勢いだった。
ぼくの場合,お気に入りのLPを,別のメディアにコピーしておくという作業はしなかった。カセットテープはそのうち一線を退くだろうと思ったし,テープということで劣化も心配だった。かつては,6ミリのオープンリールデッキも使っていたし,ハサミとスプライシングテープでの,編集もお手の物だった。でも,このメディアはきっとなくなるだろうと思った。すでに,それで記録したテープを再生する術は自宅には整っていない。
もしメディア変換のチャンスがあったとすれば,MDの登場時だったろうか。ただ,そのころには,多くのお気に入りLPは,CDとして再発売され,けっこう簡単に入手ができるようになっていたので,あまり,その必要性を感じなかったのだ。もちろん,CDにならなかった貴重な懐かしい音源も少なくないが,それを聴くのは老後にとっておこうかと,気楽な気分でいる。もっとも聴く気になれば,プレーヤーは,まだ手元にあるのだから,すぐに再生はできる。ということで,LP音源をCDにするという作業にも着手はしていないが,あと数十年たてば,そういうことも考えなければならなくなるかもしれない。もちろん,すでにそういう作業に取りかかっている方もたくさんいるだろう。
今後,オーディオメディアは,多様化が予想されるが,パッケージとしての音楽は,まだしばらくCDによって提供され続けるだろう。でも,最終的には別のメディアに移行するかもしれない。その狭間にありながら,様々なフォーマットのデータを飲み込むCDは,いろんな意味で,最高の過渡期メディアといえるのかもしれない。CDドライブがあるだけで,マルチメディアパソコンと呼ばれる時代もあった。それも分かる気がする。
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