News 2001年6月26日 08:36 PM 更新

松下電器,武闘派モバイラーのための最強PCを発表(2)

 HDDは衝撃吸収剤で保護され,筐体にはアルミニウム合金が採用されている。ディスプレイ部分はマグネシウム合金で,内部の両面スポンジ/インターナルダンパーが,衝撃を吸収し,破損を防止する。画面には強化ガラスが使われ,外部から加わる「曲げ」や「ひねり」から液晶パネルを守っている。

 また,屋外での使用を考え,太陽光の下でも見やすい「微透過性液晶ディスプレイ」を採用,表面にはAR処理を施して,写り込みを抑えている。

PCとしてはおとなしめの仕様

 一方,実用一辺倒のマシンであるため,PCとしての仕様は最新マシンとしてはおとなしめだ。CPUはIntelSpeedStep対応の超低電圧版モバイルPentiumIIIプロセッサ300MHzで,標準搭載メモリは64MB(最大192MB),HDDは1.8インチだが,"わずか"5GBだ。

 インターフェイスはワイヤレスLAN以外,本体はPCカードスロット1スロット(TypeII)とミニUSBコネクタ,Dsub9ピンのシリアル,「AirLC」はDsub9ピンのシリアルと,最低限のものしかサポートしていない。

 その上,OSは先ほど述べたように,Windows 98 Second Editionだし,液晶は8.4インチで解像度は800×600と,最新のノートPCとは比較にならない。

ディスプレイに画面を保存可能

 だが,このマシンは単に無骨なだけのフィールドユースマシンではなく,面白い工夫もいろいろ施されている。

 たとえば,本体と「AirLC」を結ぶワイアレスLANの伝送速度は(最大で)11Mbpsで,グラフィック表示を考えると,若干遅い。それがこの種の形態のPCがなかった理由だろうが,このマシンでは独自のソフトを組み込み,画面の変化した部分のみをディスプレイに転送することで,その限界を補っている(もっとも,フルに画面が変わっても2秒以内には画像が更新されるので,ネットでブロードキャスティング映像を見るような用途でなければ,さほど大きな問題はないかもしれない)。

 また,「AirLC」側ではボタンを押すだけで,その時点の画面を「AirLC」内部のメモリ(3.6MBのSDRAM)に最大100枚まで圧縮して保存できる。本体と「AirLC」の電源は独立なので,本体の電源をオフにしたり,本体との接続が切れたりした状態でも,この画面だけは呼び出して表示させることができる。図面などのデータを蓄えて,「AirLC」だけで利用するという使い方もできるわけだ。

 バッテリーの持ちは,本体が最大4時間,「AirLC」が同5時間(バックライトONでは2.5時間)と,まずまず。本体のバッテリーはバッテリーパックが2つあって,本体の電源を落とさずに1つずつ交換できるのも,このマシンらしいところだ。

 松下電器がこのマシンで想定しているのは,白バイ警官がバイクに装着するとか,修理工場などのフィールドワーカーたちが本体を腰に装着するといった使い方だ。確かに,建築現場や高所での作業など,これまでPCが進出しにくかったところへも,このマシンなら出張っていける。今後はポートリプリケータを出したり,GPSなどの機能を提供したりといった計画もあるという。基本的には顧客の要望に対応してソリューションを提供する方針だ。

 それゆえ,このマシンは基本的に個人ユーザーを対象にしておらず,店頭での販売も計画されていない。松下ネットワークマーケティングのオンラインショッッピングサイト,「パナセンス」でのみ,一般人も入手できる(ネット販売価格は34万5000円)。

 もっとも,このマシン,喫茶店でレザーのアタッシェから取り出すといった,ごくフツーのモバイルユースには,とうてい似合いそうにはないのだが。

《「PRONOTE AirFG」の基本スペック》

  本体部
CPU 超低電圧版モバイルPentium III/300MHz
2次キャッシュ 256Kバイト
メモリ 標準64Mバイト(最大192Mバイト)
HDD 5Gバイト
インタフェース PCカードTYPE II,ミニUSB,シリアル(Dsub 9),ワイヤレスディスプレイ用I/F(IEEE802.11b)
電源 AC100V〜240V(50MHz/60MHz),
リチウムバッテリパック x 2
(駆動5時間,充電5時間)
サイズ 200(幅) X 91.6(奥行) X 52(高さ)ミリ
重さ 920グラム

 「AirLC」
表示方式 8.4型微透過性液晶,SVGA 800 X 600
入力方式 タッチパネル式
インタフェース シリアル(Dsub 9),ワイヤレスディスプレイ用I/F(IEEE802.11b)
電源 AC100V〜240V(50MHz/60MHz),
リチウムバッテリパック
(駆動5時間(バックライトオフ時),2.5時間(バックライトオン時),充電5時間)
サイズ 222(幅) X 162(奥行) X 12.5〜29.5(高さ)ミリ
重さ 698グラム

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[中川純一&中村安宏, ITmedia]