News | 2001年6月27日 11:55 PM 更新 |
「第8回LSIデザイン・オブ・ザ・イヤー」の表彰式が,東京ビッグサイトで開催されている「組込みシステム開発技術展」会場で行われ,リアルビジョンの「GA400-4ジオメトリ・エンジン」(デバイス部門)と,ロームの「システムLSIの新設計手法“REAL SOCKET”」(設計環境/開発ツール部門)が,それぞれグランプリを受賞した。
今回の受賞で注目すべきは,リアルビジョンがグランプリを取ったことだろう。LSIデザイン・オブ・ザ・イヤーでは,第1回グランプリに三菱電機が受賞して以来,NEC,日立製作所,東芝,ソニー,富士通など,高い開発力を有する大手メーカーがグランプリを獲得してきたが,ベンチャー企業がグランプリを受賞したのは今回が初めてだ。
半導体ベンチャー協会の幹部も務めているリアルビジョンの杉山尚志社長は,グランプリ受賞のコメントでも「日本の半導体ベンチャー企業をもっと増やしたい。技術をもって世の中に示せば,このように光栄な賞が与えられるということを実証できた」と語った。
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グランプリのトロフィーを手にするリアルビジョン杉山尚志社長 |
リアルビジョンは,1996年7月設立のベンチャー。昨年12月にはマザーズ上場を果たしている。国内のベンチャーが手掛けてこなかった3Dグラフィックスエンジンに目を向け,独自の技術開発によって「ジオメトリ・エンジン」のハードウェア化に取り組んできた。この技術を元にして,3DグラフィックスLSIやグラフィックスドライバ,3Dグラフィックスボード,EDAツールなどを開発・販売している。
「日本の技術で世界に打って出ようというコンセプトで設立した。今回受賞した3Dグラフィックス用ジオメトリ・エンジンGA400-4は,PS2の4倍以上の演算スピードを持つ。その性能はまさにスーパーコンピュータ並み」と語る杉山社長。日産自動車やトヨタといった自動車メーカーでは車の3次元設計,カシオ計算機では金型設計,カプコンではゲーム開発などに,このジオメトリ・エンジンが活躍しているという。
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ジオメトリ・エンジンGA400-4 |
今後の展開では「カスタム(特定用途向け)グラフィックス」を最重点項目に掲げている同社。世界にも類を見ないグラフィックスLSI技術を,より量産性の高い分野にシフトし,グラフィックス事業の拡大をはかるという。
杉山社長は「デジタル放送が台頭し,実写とCGを合成するバーチャルスタジオのようなグラフィックスを駆使するコンテンツが増えると,その現場にジオメトリ・エンジン搭載のワークステーションが大量に導入される。また,高精細のグラフィックスを活かして遠隔医療にも応用できる。今回の受賞がビジネス拡がりのきっかけとなって欲しい」と語った。
LSIデザイン・オブ・ザ・イヤーは,過去1年間を通じて最も顕著に成果を残したLSI製品,技術,設計環境,開発ツールなどを表彰するもので,毎年選定されている。主催は半導体産業新聞で,共催はリードエグジビジョンジャパン。選定委員には,委員長に東京大学の南谷崇教授,副委員長に大阪大学の白川功教授や九州大学の安浦寛人教授など学会の第一人者が名を連ねる。
8年目を迎える今回のLSIデザイン・オブ・ザ・イヤーには,デバイス部門で1600点,設計環境・開発ツール部門で240点の製品技術の応募があった。合計1840点は「過去最高の応募」(選定委員会)という。この中から,デバイス部門および設計環境・開発ツール部門の両部門それぞれの,グランプリ,審査員賞,優秀賞が選ばている。
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LSIデザイン・オブ・ザ・イヤー表彰式 |
グランプリ以外の受賞は,以下の通り。
デバイス部門
設計環境/開発ツール部門
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