News 2001年7月10日 11:52 PM 更新

情報通信白書はここを読む

情報通信白書は,Web上で閲覧可能。内容は,「ブロードバンド白書」といっても差し支えのないものだ。

 総務省は7月10日,「平成13年度版 情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)を公開した。本編や資料を総務省のWebサイトで閲覧することが可能だが,情報量が膨大で読破は困難(そもそも白書は読破するものではないが)。要点を絞って簡単に説明しよう。

 情報通信白書は,昨年までの「通信白書」を改称したものだ。情報通信の現況や,情報通信政策の動向といった従来の項目のほかに,「加速するIT革命〜ブロードバンドがもたらすITルネッサンス〜」という特集を組み,ブロードバンド時代の利用者動向やコンテンツ像などを解説している。この特集,ボリュームもかなりのもので,情報通信白書ではなく,「ブロードバンド白書」と名乗ったほうがよさそうなくらいだ。

 情報通信白書の中には,「2001年はブロードバンド元年」と記されている。ADSLやCATVインターネットの急速な普及,ならびに料金の低価格化という現状を見れば,ブロードバンド時代が本格的に訪れたのは明らかだが,ブロードバンド元年という言葉,これまでにも何度も聞いた気がする。改めて宣言したことに意味があるとすれば,ブロードバンド元年が2000年なのか,2001年なのか,政府の公式見解が示されたことぐらいか(民間のIT関連白書の一部では2000年がブロードバンド元年だとしている)。

 当然,白書だけに,掲載データに目新しいものは少ないのだが,ブロードバンドの普及ペースについては,インプレスの「インターネット白書2001」と同様に,2001年にxDSL加入者がCATVのそれを上回り,2003年には加入者が843万に到達すると試算。さらに,2005年のインターネット利用者数の予測を,前年の推計値である7670万人から8720万人に上方修正したほか,2000年のインターネットビジネス市場規模が前年から倍増したと報告するなど,景気のいい話が目立つ。

 また,情報通信白書には特に興味がないという人は,とりあえずコラムだけ読んでみてはどうだろうか。コラムには,IP電話やインターネットビジネスの動向をテーマにしたものがあり,なかなか参考になる。さらに,16年前の自分から手紙が届く「科学万博ポストカプセル2001」についてのコラムでは,「電子メールなどでは得られない“ぬくもり”や“あたたかさ”といった,手書きの文字による手紙文化の素晴らしさを再認識するよい機会になった」と“情報通信”の白書らしからぬ情緒的な文章も。

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関連リンク
▼ 平成13年度版情報通信白書
▼ 総務省

[中村琢磨, ITmedia]

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