News 2001年7月18日 10:25 PM 更新

“少額決済歓迎”──ネット専銀のイーバンク銀行が開業(2)

 イーバンク銀行のプラットフォーム拡大戦略には2種類ある。1つは,Yahoo! オークションのように,株主企業のEC事業との連携。もう1つは,10月〜11月に導入予定の「電子メール送金システム」だ。

 2000年1月の設立以来,イーバンク銀行(設立当初は日本電子決済企画)は,数回にわたり第三者割当増資を実施。現在の資本金は89億円で40社以上が株主として名を連ねており,「コンテンツ関連の企業ではイーバンク銀行への対応が進めれられている」(若山氏)。その中には,ヤフーのほか,エイベックスやぴあなどが含まれていることから,音楽コンテンツやコンサートチケットの購入にイーバンク銀行が利用可能になる模様。なお,開業時には約50社がイーバンク銀行のサービスに対応する予定になっている。

 一方の電子メール送金システムは,「PayPal」と呼ばれるもので,米国では個人間の送金手段として人気を集めいてる。「米国で800万以上の口座を獲得した実績があり,オークションサイトのeBayでもメジャーな決済手段の1つになっている」(若山氏)。PayPalの特徴は,メールアドレスさえ知っていれば,送金したい相手がイーバンク銀行に口座を持っていなくても,お金を送ることができる点。正確には,相手には「お金が送られてきています」という内容のメールが送信され,イーバンク銀行に口座を開くよう勧める仕組みになっている(実際にお金を暗号化してメールで送るわけではない)。

 こうした戦略のもと,イーバンク銀行は,3年後で150万口座の獲得を目指す。この段階で取扱高は3000億円に達し,「黒字化することができる」(若山氏)。また,5年後には300万口座,取引高は5000億円という目標を掲げている。

 「もうからない」という理由で少額決済を避けたソニー銀行。かたや,少額決済に特化するイーバンク銀行。どちらの選択が正しいのか,この段階で判断することはできないが,イーバンク銀行員には強い味方がいることは確かだ。

 「有料化したにもかかわらず,Yahoo! オークションには62万人の会員がいる。また,Yahoo! BBのバナー広告をYahoo! Japanのサイト上に大量展開した結果,具体的な数字は言えないが,非常に好調な成果を挙げている。これは,バナー広告もやりかたによってはまだまだいけることの証明。イーバンク銀行もYahoo!で大量プロモーションを打つ予定だ!」(ヤフー営業本部長の有馬誠氏)。

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[中村琢磨, ITmedia]