News 2001年7月31日 11:55 PM 更新

コミュニケーション機能が大幅強化――11月16日発売のWindowsXP日本語版

マイクロソフトが11月16日に発売するWindows XP日本語版では,コミュニケーション機能が大幅に強化されている。発表会場では,XP新機能のデモンストレーションが行われた。


Windows XPの日本語版は,11月16日に発売される

 マイクロソフトは7月31日,新OS「Windows XP」日本語版を11月16日に発売すると発表した。「Professional」と「Home Edition」の2製品がラインアップされる。Windows XPインストールにあたってのシステム構成は,CPUが300MHz以上,メモリは128Mバイト以上をそれぞれ推奨,HDDは1.5Gバイト以上の空き容量が必要としている。

 価格は,今回の発表では明らかにされず,9月中に発表するとのアナウンスがあった。英語版は10月25日にリリースされることが既に発表されているが,日本語版は英語版の3週間後の発売となる。これまで,英語版出荷から2週間後に日本語版がリリースされるという法則があったが,今回はやや遅れての発売となった。

 発表会でマイクロソフトの阿多親市社長は,Windows XP発売にあたり「21世紀の大きな潮流はブロードバンド。ブロードバンド時代のリアルタイムコミュニケーションを,安定して届けられるのがXPだ」と語った。


Windows XP発売について語る阿多社長

 発表会場では,XPのコミュニケーション機能について,いくつか紹介された。Windows XPでは,ユーザーインタフェースが大きく変更されている。会場ではまず,ログイン画面の変更について触れた。マルチユーザーを実現するWindows XPのログイン画面は,ユーザーごとに大きく表示され,ワンクリックでログインすることができる。また,パスワードを設定することも可能で,ユーザー間のプライバシーも守られる。


Windows XPのスタート画面。アイコンをクリックするだけで,複数ユーザーの切り替えができる

 ブロードバンド時代ならではの機能として,インスタントメッセージング(IM)ソフト「Windows Messenger」の紹介が行われた。XPでは,このIMソフトとOSとが密接に統合されているのが特徴。Windows Messengerは,従来のIMソフトの機能を大幅に向上させ,テキスト,チャット,ビデオ,オーディオ,テレフォニーを統合したサービスを提供している。会場では,Windows Messengerによるテレビ電話や,ビデオ通信を行いながらのファイル送受信といったデモが行われた。

 かつて,Windows 95においてIEを統合し,それがWebブラウザのデファクトスタンダードとなったように,Windows Messengerも,IMソフトの“業界標準”という道を歩んでいくのだろうか。


テレビ電話とファイル送受信を同時に行っている。Windows Messengerでは,相手の姿だけでなく,自分の姿も小さなウィンドウに表示される

 ブロードバンド関連では,「Remote Assistance」の紹介され,同機能を用いてプリンタの設定をリモートアクセスで変更するデモが行われた。Remote Assistanceではサポートする側とサポートされる側が,同じ画面を見て作業ができるのがポイントとなっている。PCに詳しい人が,初心者に教えるときに役立つこの機能は,幅広いユーザー層が利用するOSであるWindows XPにとって,強い武器となるかもしれない。


Remote Assistance機能により,遠隔操作でプリンタの設定を行っているPC

 マイクロソフトは今回の発表会で,同OSのリリース候補となるRC1の日本語版を報道関係者らに配布した。この日本語版RC1は,マーケティングデータ収集を行う「Windows XP Preview Program」の一環として,8月6日より同社販売チャンネルの取引パートナーに限定して配布される。Windows 2000のベータテストの時のように,一般公募や雑誌の付録添付といった,不特定多数のユーザーへの配布は行わない。配布枚数は5万枚を予定しており,製品発売に先駆け,導入に向けたシステム検証を促す。

 一般ユーザーへの告知は,9月19日に開幕するWORLD PC EXPO 2001を最初のアプローチとする方針だ。WORLD PC EXPO 2001では,過去最大規模の120小間のブースを出展し,周辺機器やアプリケーションの対応状況をアピールするなど一般ユーザー向けに新OSを紹介する。同イベントでは米MicrosoftのRich Belluzo社長による基調講演が予定されている。「WORLD PC EXPOが,まさにWindows XPのプリラウンチなるようにしたい」(マーケティング本部Windows製品部の御代茂樹部長)。

 マイクロソフトは,「史上最高のWindows」と同社が自負するWindows XP日本語版の発売を,11月16日とした。この発売日は,英語版と同時発売もあるかもしれないというユーザーの期待が外れた結果となった。今回発表の壇上に並んだ御代部長は,7月5日にマスコミ向けに行われたセミナーの中で,Windows XP日本語版発売のスケジュールに触れている。この時は「英語版と同時にリリースするかもしれないし,少し猶予を置くかもしれない。英語版出荷から2週間後に日本語版をリリースするというこれまでの法則は,今回のXPには当てはまらないかもしれない」と述べていたが,結局,“少し猶予を置く”ほうが選択されたカタチとなった。阿多社長は日本語版発売が遅れる理由について「英語版から3週間ほど遅れるが,この期間,日本語化,品質の向上,各種ドライバのチューニングを行う」としている。

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[西坂真人, ITmedia]

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