News 2001年8月1日 04:35 PM 更新

ブロードバンド時代の新たな「出版」狙う,有料メルマガ「まぐまぐプレミアム」

メルマガの無料配信で知られる「まぐクリック」が,有料課金型メールマガジン配信サービス「まぐまぐプレミアム」を開始する。同社が狙うのは,ブロードバンド時代に対応した新たな出版形態の確立だ。

 まぐクリックは7月31日,有料課金型メールマガジン配信サービス「まぐまぐプレミアム」を開始すると発表した。8月1日15時より,無料メールマガジンの配信サイト“まぐまぐ”内に,有料メールマガジン専用サイト“まぐまぐプレミアム”を開設し,9月1日から本格的に配信を開始する。

 出版流通業に当てはめると,“取次ぎ”と“書店”の役割を兼ね備えたともいえる今回の新サービス。“インターネットの本屋さん”としてメールマガジンの無料配信を推し進めてきた同社が,なぜ有料メルマガサービスに踏み切ったのだろうか。

 同社はまぐまぐプレミアムにおいて,有料メールマガジン発行者/購読者を募り,購読者からの購読料回収や決済口座管理を行うほか,メールマガジン配送システムの運営や管理,専用Webサイトの運営を行う。

 発行される有料メールマガジンは月額課金方式で,月額購読料は最低100円から。決済方法は,クレジットカード会社9社によるクレジットカード決済,もしくはジャパンネット銀行による銀行口座振替が利用できる。同社は,月額購読料から40%を取扱手数料として徴収する。つまり,メールマガジン発行者から支払われる取扱手数料が,まぐまぐプレミアムの収益源となる仕組みだ。

 まぐクリックの西山裕之社長は「このサービスを通じて,良質のコンテンツをクリエイトすることのできる発行者に,メルマガの配送システムや課金のインフラを提供していく。また,メールマガジンを有料化することにより,ブロードバンド時代における新たな出版形態の確立を狙っていく」という。


「ブロードバンド時代の新たな出版形態の確立を狙う」と語る西山社長

 8月1日時点の初期登録マガジンは,176タイトルとなる予定。初期登録タイトルへの一般公募では,600タイトルの応募があったという。「まぐまぐプレミアムで発行される有料メールマガジンは日刊,週刊,隔週刊,月刊など定期発行が基本となるため,600タイトルから安定した配信が可能な発行者を厳選した」(西山社長)。

 当初は,“まぐまぐ”の600万ユーザーを中心に購読アプローチを行なうが,他のメールマガジンサイトやプロバイダーと連携して発行者の発掘や新たな購読ユーザーの獲得を図る。2001年末までに10万ユーザー,2002年末までに100万ユーザーの獲得を目標としている。


2002年末までに100万ユーザーの獲得を目標としている

 現在,メールマガジンの多くはテキストベースとなっているが,今後ブロードバンド化が進むにつれて,音声や動画といったコンテンツが増えてくる。まぐクリックは,メールマガジンというネットコンテンツに有料課金システムを導入することで,ブロードバンド時代のリッチコンテンツの新しい流通経路の確立狙っている。そのため,まぐまぐプレミアムの発行形式も,従来のテキストのほか,HTML形式やストリーミング(動画)を用いたビデオメールマガジンが予定されている。


ストリーミング形式のメルマガも予定されている

 初期登録の176タイトルの中には,西山社長が「ニッチだがキラーであるコンテンツ」と表現する多種多様なメールマガジンがエントリーされており,ジャンルもニュース,スポーツ,ファッション,エンターテインメント,レジャーなど多岐に渡る。「中でも,学習・教養講座のメルマガの人気が高い」(西山社長)。

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[西坂真人, ITmedia]

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