News 2001年8月8日 00:33 AM 更新

広報支援サービスのベンチャー企業にオールドエコノミーの“壁”

インターネットを利用した広報支援サービスを提供するベンチャー企業のニューズ・ツー・ユー。地方のオールドエコノミー企業をターゲットにする同社だが,どうやらその計画は一筋縄ではいかないようだ。

 企業広報支援サービスを提供するニューズ・ツー・ユー。約1300社の媒体リストを持ち,先月9日よりWebサイト「News2u.net」を利用したニュースリリース配信代行サービスを行っている。

 共同通信も同様のサービスを9月より開始する予定だが,ニューズ・ツー・ユーでは広報業務が手薄な中小企業や,地方企業を顧客対象にすることで差別化を図っていく方針だ。事業開始から約1カ月。同社の神原弥奈子社長は「地方のオールドエコノミー企業は想像以上に手ごわい」と打ち明ける。

 ニューズ・ツー・ユーのサービスを利用するには,初期費用が3万円,月額利用料金が1万2000円かかる。この料金にはリリース配信代行のほか,広報業務に関する用語解説などのコンテンツサービスが含まれる。神原社長は,「価格は努力したつもり。PR会社を使用した場合の十分の1ですむ。サービス的にも遜色はない」と胸を張る。

 実際,インプレスやオープンループなどIT関連企業数社と契約を結ぶなど,出足はまずまずだ。しかしながら,「地方のオールドエコノミー企業では,広報予算がゼロの会社もある。高かろうが安かろうが関係なかった」(神原社長)。

 「営業をかけている最中なので名前は明かせないが,全国的に名の知れた企業でも,オールドエコノミーの企業で広報業務を重視しているところはほとんどない」(同)。

 さらに神原社長は,「プレスリリースなど流した日には,マスコミから叩かれると気にしているところもある。もともと,広報活動が活発ではない企業をターゲットにするつもりだったが,(広報活動が)休止状態の企業があまりにも多い。特に,コンシューマ向けに製品を開発していない企業は,その傾向が強いようだ」と続ける。

 そのため,本来はオプションで提供するつもりだったコンサルティングサービスを無料で提供するなど,「ほとんどボランティアに近い状況」(神原社長)になっている。パック容器製造でトップシェアを持つエフピコは同社の顧客だが,「こうした大手企業でも,どのタイミングで,どういった内容のリリースを出すべきかということも,こちらから提案している」(同)という。

 サービスを開始してから実態を把握したニューズ・ツー・ユー。地方のオールドエコノミー企業を取り込もうとした事業戦略は間違っていたのだろうか?

 この問いかけに対し神原社長は,「広報支援ビジネスは,ニュースリリースの配信代行だけではない。ニューズ・ツー・ユーは社内広報サービスも手がけていく」と強調する。

 同社が9月に開始するブラウザベースのグループウェアは,電子会議室や社内報作成ツールを提供するものだ。リリース配信システムのインタフェースを,社内報向けに改良している。料金はリリース配信代行サービスと同程度になる見込みだ。

 「営業に行くとリリース配信代行サービスよりもこちらのほうが注目を集めたりする。ただ,顧客にこのサービスを説明する際は,“グループウェア”という言葉は使っていない。グループウェアはロータスの“ノーツ”とイコールだと思い込んでいる担当者が多いからだ」(神原社長)。

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▼ ニューズ・ツー・ユー

[中村琢磨, ITmedia]

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