News 2001年8月10日 11:59 PM 更新

五島プラネ,フルデジタル映像の“ガンダム劇場”に再生

惜しまれつつ今年3月に閉館となった五島プラネタリウム。なんと,その施設は今度,ガンダム劇場「E-Field」として生まれ変わることになった。“星好きの聖地”から,“ガンダムファンの聖地”に!?

 渋谷・東急文化会館8階。五島プラネタリウムがあったこの場所に,登場したのはガンダムだった。

 東急グループ系の映像関連企業であるイメージスタジオ・イチマルキュウ(109)が,五島プラネの施設を有効活用し,デジタルエンターテインメント劇場「E-Field」を8月10日にオープンしたのだ。


JR渋谷駅構内には「渋谷にガンダム出現!?」という垂れ幕が

 上映されるのは,「ガンダム新体験 GREEN DIVERS」というオリジナル作品(1日10回)。約24分の映像を,日本SGIのUNIXワークステーションと接続したディスクアレイに格納(データ量は220Gバイトに及ぶ)し,そこからDLPプロジェクタに送出している。音声(7チャンネル)も,ハードディスクレコーディングという,“フルデジタル劇場”なのだ。編集長某氏が「子供の頃,買い物するお母さんを待ってた五島プラネが,ガンダムかぁ……」と感傷に浸っているのは捨て置いて,早速,“体験”取材を試みた。

フルデジタル映像の迫力や如何に!?

 午前11時の初回上映に間に合うよう,15分前にはE-Fieldに行ってみると,熱心なガンダムファンたちで既に座席の半分以上が埋まっている。予想通り(?),センター街にいるような若者の姿はほとんどない。ほとんどプロモーションされていないというのに,どうやって嗅ぎ付けたのだろうか?


夏休み中ということで,中学生らしき少年たちの姿も多く見られた

 と,上映が始まって,ちょっとビックリ! 全天周スクリーンにド迫力のデジタル映像が映し出されると期待していたのだが,実際には,その“ごく一部分”を使用しているだけだったからだ。

 場内の構成を説明すると,全天周スクリーンを頂点から真っ二つに割って,半分になったうちの一部に3面マルチスクリーンが設置されている。プラネタリウムの施設はそのままなので,座席は円状に配置されている。当然,スクリーンが見えるのは,座席の半分までだ。最初場内に入ったとき,座席を半分しか使っていないのでおかしいとは思ったのだが,そういうわけだったのだ。

 画像の方も,“天空”で“使用していないスペース”が多いため,どうしても映像の迫力に限界がある。こちらが3画面で全天周スクリーンをカバーし,仮想的に1つのスクリーンとして使うと勝手に思い込んでいたせいかもしれないが……。

 実は,パンフレットにはちゃんと「3画面を使用して」と書かれているし,よく考えれば,半球状のスクリーンを3面ですき間なく埋められるわけもない。だが,日本SGIのReality Centerでは,全天周ではないが,仮想的に1つのスクリーンとして表示する似たようなシステムが稼働している。このあたりは,どうもこちらの期待が大きすぎたらしい。


3面スクリーンに表示される映像のイメージ。画像が小さくて見えにくいが,中央にはメインの映像,左右の2画面には関連情報が表示される。3面ぶち抜きでモビルスーツが移動するシーンでもあれば興奮度も違ってきたのだが……。
(C)SOTSU AGENCY・SUNRISE

大気圏突入は成功するか!?

 場内の構成の方はさておき,肝心のガンダムの方はと言うと,しっかりと堪能させてもらった。

 ガンダム新体験 GREEN DIVERSの舞台は,エゥーゴ/カラバ,ティターンズ,それに地球連邦軍が戦いを繰り広げる「Zガンダム」の世界。宇宙世紀0087年のことだ。ストーリーは,アサギ(15歳),タクヤ(10歳)という姉弟が乗る宇宙定期旅客船がモビルスーツの攻撃を受けて遭難! 脱出用カプセルで大気圏に突入できるのか──というもの。

 「あきらめちゃダメだ,そう言ったのはお姉ちゃんじゃないか! ぼくはあきらめないよ!!」というガンダムお約束の土壇場に出てくる名台詞も切れ味ばっちり。富士急ハイランドで大ブレイク中の「ガンダム・ザ・ライド」のCG映像を制作したイメージスタジオ109の作品とあって,映像的な完成度は高い。

 また,単なるアニメーションではなく,ストーリー中には宇宙速度や衛星軌道についての説明など,宇宙に関する知識も織り込まれているのも特徴だ。さらに,エゥーゴのパイロット役で古谷徹氏も声優として参加しているとあって,ガンダムファンにはたまらない一作になっている。

 さらに耳寄りな情報としては,2001年末までには全天周スクリーンをフルに活用した作品(もちろんガンダム)が上映される予定だという。そうなれば本当に“新しい体験”を期待できるだろう。なお,E-Fieldの料金は大人が1000円,中高生が700円,子どもが300円だ(かっこつけずに領収書もらっておけばよかった……)。

関連リンク
▼ E-Field

[中村琢磨, ITmedia]

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