News 2001年8月10日 09:30 PM 更新

松下のデジカメ機能付DVカメラには,もう一工夫欲しかった

 松下電器が「ネットワーク2WAYデジカム」NV-EX21を発表した。既報(8月6日の記事参照)の通り,DVカメラの,カメラ部分とビデオユニットを着脱できるようにし,ビデオ部分に換えてバッテリアダプターユニットを装着すると,SDメモリーカードに映像を記録するSDムービーカメラ兼デジタルスチルカメラ(DSC)になるというものだ。


松下が発表した「ネットワーク2WAYデジカム」NV-EX21

 DVカメラの普及率は,現在約34%で,ここ数年大きな伸びを見せていない。購入目的は,子供の成長記録や旅行の記録がダントツで,最近の特徴としては,PCへの取り込みが購入動機の2位に急浮上しているらしい。

 DSCとDVCは用途が違うため,松下としてはDVカメラにデジカメの機能を付けても意味がないという判断をしてきたそうだ。だからこそ,今回もSDメモリーカードにMPEG4画像を記録することにこだわっている。

 ぼく自身の経験では,1994年の秋に,DVカメラを初めて自分で購入したときに,その画質の美しさにも驚いたが,これは使えると思ったのは,静止画の美しさによるスチルカメラとしての利用法だ。

 何しろ,ビデオムービーカメラなのだから動画を撮影するということは,1秒間に30コマの静止画を記録することを意味する。60分テープなら,コマ数は30コマ×60秒×60分で,10万8000コマの写真が撮れる勘定だ。

 ただ,使い方としては,5秒間ほど静止画として映像をつかまえるという方法を使っていた。動画の中から一コマを抜き出すよりも,最初から静止画として撮影したほうが,ショットがきれいに決まることが多かったからだ。

 実際こうして撮影した静止画は,ビデオキャプチャユニットを使ってパソコンに取り込み,いくつもの紙媒体に報道用の写真として掲載されていた。今だから言える話である。

 といっても,当時は,VGA程度の解像度があれば,立派な静止画グラフィックスだった時代の話だ。数百万画素が当たり前という現代には,こうした使い方はあまり意味がない。デジカメ側が動画記録の機能を持つようになったのは,そういう経緯があってのことだろうし,DVカメラ側も,最低でもXGA以上の解像度での静止画撮影をサポートするようになった。

 その解像度で足りる足りないは,ユーザーの判断だと思うが,実際の買い物となれば,それなりのデジタルムービーカメラと,それなりのスチルカメラの両方を購入した方が,満足度は高いかもしれない。合計金額でNV-EX21を購入する場合とそんなに大きくは違わない買い物だって可能だと思う。

 今回の松下機のジレンマもここにある。この機種を選んだユーザーのうち,果たしてどのくらいの割合で,スチル&SDムービー専用カメラとして,このカメラを使うのだろうか。

意外と煩雑な分解・取り付け

 例えば,旅行に出かけたとしよう。かさばるビデオユニット部分は,背中のリュックなどに収納しておき,首からスチルカメラ化した筐体をぶらさげて街歩きをする。

 「この光景は動画として撮っておきたい」という場面に出くわしたら,やおら,リュックからビデオユニットを取り出して組み立て,動画を撮影する。そして,撮影が終わったら,また分解して……。

 なんて,面倒なことをするはずがない。ほんの少しでも動画を撮影する気持ちがあって,機器を携帯するのなら,とびきりのシーンを逃さないためにも,ビデオユニットは外さずに持ち歩くじゃないだろうか。

 これが単純な切り離しだけでスチルカメラになるのだったら話しは少し違ってくるかもしれない。でも,分解の手間は,けっこう煩雑だ。

1. カメラユニットとビデオユニットを切り離す。 2. ビデオユニットからバッテリーを外す。 3. 外したバッテリーをバッテリアダプタに装着する。 4. バッテリーアダプタをカメラユニットに取り付ける。 という4手順になり,立ったまま数秒で出来上がりといった簡単なものではない。2wayではありながら,パーツは4個を組み替えなけらばならないし,どちらの用途でも,1つのパーツが余る。

 今日はビデオはいいやと思って軽装備で出かけると,必ずビデオユニットを持ってくればよかったと後悔する。それがオチなんじゃないだろうか。

 2つに分割できて,双方が独立し,それぞれで機能するというくらいにカンタンなら話は別だが,分割できるというだけでは説得力に乏しい。あともう一工夫ほしかったというのが正直な感想だ。

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[山田祥平, ITmedia]

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