News 2001年8月29日 03:58 PM 更新

IDF基調講演――「スピード狂時代の終焉」を宣言したIntel(1)

IDF 2001の基調講演を行ったIntel執行副社長のPaul Otellini氏は,少しでも多くのクロック数を,というスピード狂時代は過去のものになったと宣言した。今後は速度以外の部分にも注力,「より良いコンピューティング体験の提供」に努めていくとし,「Banias」などそのための2つの新技術をあわせて発表した。

 Intel Developer Forum Fall 2001の初日,Intel執行副社長(EVP)のPaul Otellini氏は「いかにして1MHzでも多くのクロック周波数を提供するか,という時代は過去のものだ。これからは,より良いコンピューティング体験を提供するかが重要になる」と話し,クロック周波数のみが評価される時代の終焉を宣言した。

 以前のPCハードウェア業界では,価格とクロック周波数でのみ差別化が行われてきた。しかし,Otellini氏は,これからのPCハードウェア業界は,価格とクロック周波数に加え,信頼性,デザイン,簡便さ,セキュリティ,消費電力といった複合的な要因によるコンピューティング体験へと,価値観が移行するとの見解を示した。


IDF初日の基調講演をつとめたPaul Otellini執行副社長

 昨年前半までのIntelが,まるで嘘のような大変貌だ。元々,利用形態を重視したマーケティングを行っていたIntelだが,ここ数年は顧客の志向に合わせてクロック周波数にフォーカスしたマーケティングを行っていたからだ。

「スピード狂時代終焉」の真意

 とはいえ,クロック周波数への挑戦が終わる訳ではない。Otellini氏はMPEG2デコード,テキスト読み上げ,リアルタイムのDVからMPEG2への変換,HDTVデコード,リアルタイムMPEG2エンコード,リアルタイムHDTVエンコード,ソフトウェアによる802.11aプロトコル,ビジュアル認識,リアルタイムの写真品質の3Dレンダリングなど,より多くのプロセッサパワーを必要とする利用形態は数多く存在すると話す。

 多少自虐的ではあるが,前日に発表されたPentium 4/2GHzでさえも,「たった5000MIPSの命令スループットしかない」と同氏は話す。つまり,今後もより多くのMIPSが必要だと言うわけだ。

 Otellini氏はさらに,デモシステムで3.5GHz動作のPentium 4マシンを動かして見せた。そして,Pentium 4はそのライフサイクルの中で10GHzまでクロック周波数が上昇させる見込みだという。


次世代Pentium 4のNorthwoodは難なく3.5GHzで動いた。資料がすべて3GHzだったことを考えると,直前になって3.5GHzへとクロックが上げられたようだ。

 Otellini氏は,クロック周波数そのもの価値やデマンドに変化がないことをアピールした上で,コンピューティング体験とはクロック周波数に加え,さまざまなプロセッサとPCプラットフォームの改善により高めることが可能で,今後のIntel製プロセッサは,そうした部分にも注力していくという。

 プロセッサ側の改善とは,過去で言えばSpeedStep,SSE,MMXといったキーテクノロジを示し,プラットフォーム側の改善とはPCIやAGP,USBといった技術を指している。これらの技術を組み合わせたものがPCであり,PCを利用したコンピューティング体験を高める効果は何もクロック周波数だけではないことを強調する。

消費電力の低さをアピールするBanias

 そしてクロック周波数以外での価値を見いだす技術が,IA-64アーキテクチャと,この基調講演で発表した2つの技術だ。

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