News 2001年8月30日 05:01 PM 更新

Intelが描くモバイルのロードマップ――4つの重点分野

IDF 2001の2日目は,モバイル部門担当副社長のFrank Spindler氏が基調講演を行った。同氏によれば,Intelは現在の市場のニーズには4つのベクトルがあり,それに対応していく形で製品開発を進めていく。モバイルPentium 4やBaniasも,みなその戦略上にある製品というわけだ。

 Intel Developer Forum Fall 2001の2日目,モバイルプラットフォーム担当副社長のFrank Spindler氏が基調講演を行った。同氏は,市場にはパフォーマンス,バッテリ持続時間,ワイヤレス,小型化という4方向に製品の価値を高めるベクトルがあり,それぞれの方向に対してソリューションを提供していくと語った。そうしたソリューションの中には,来年の前半に投入予定のモバイルPentium 4もある。

 同氏の話はまず,ワイヤレス分野で,3つの技術が今後立ち上げるだろうということから始まった。その3つとは,次のようなものだ。

  • オフィスや家庭はもちろん,空港やホテル,カンファレンスセンターなど,さまざまな場所で802.11無線LANが使えるようになる
  • Bluetooth対応製品が今年後半に増加し,2002年にかけて普及する
  • 2003年以降に高速の携帯電話ネットワークが普及することで,広帯域のワイヤレスWANも現実のものとなる

    基調講演でモバイルプラットフォーム戦略について語ったIntel副社長のFrank Spindler氏

     もっとも,この3つのワイヤレス技術がすべて立ち上がったとしても,完全なワイヤレスを実現できるわけではない。バッテリ持続時間が短ければ,ACコードからPCを切り離すことなどできないからだ。ワイヤレス技術の進化は,バッテリ持続時間へのデマンドをより高めることになるだろう。

    2GHzのモバイルPentium4をデモ

     Spindler氏は続いて,実際に動作するモバイルPentium 4のテストシステムをデモンストレーションして見せた。

     モバイルPentium 4は0.13ミクロンプロセスで製造されるNorthwoodをベースにしており,Enhanced SpeedStepとDeeperSleep機能が組み込まれているほか,新機能として「Alart State」が組み込まれる。ただ,Alart Stateの詳細は今のところ不明だ。NorthwoodのダイをMicro Flip-chip PGAパッケージに収め,来年の第1四半期には出荷を予定している。

     デモンストレーションでは2GHzのシステムを動作させ,ビデオ編集アプリケーションを高速に実行してみせたが,来年に出荷される最初のモバイルPentium 4は1.5GHz動作になる予定だ。モバイルPentium 4はその後,2002年中に2GHzまで高速化される。

     その後に行われたモバイルプロセッサのブリーフィングでは,基調講演で使われた2GHzのデモシステムを展示。システムはi845MPにPC133 SDRAMを組み合わせたもので,ヒートシンクもデスクトップPCとほぼ同タイプのものが取り付けられていた。


    モバイルPentium 4を搭載したデモシステム。2GHzで動作しており,ヒートシンクの大きさからデスクトップ用にも見えるが,チップはモバイル用のものだという。電源ユニットにはNorthwood,Brookdaleの文字が見える。メモリはPC133 SDRAMのSO-DIMMが2枚使われていた

     一方,バッテリ持続時間に関しては,システム全体に占めるプロセッサの消費電力が7%にしか過ぎず,33%を占める液晶ディスプレイや14%を占めるグラフィックチップ,13%を占めるチップセットなど,CPU以外の面で消費電力低減の努力を行う必要があるとしている。

     Spindler氏は「ハードディスクや液晶ディスプレイ,ドライバチップ,ワイヤレスLANなどの各分野で省電力技術化を進め,バッテリ自身の改良などを加えることで,30%ほどバッテリ持続時間の問題を改善できる」と話した。

     日本のユーザーが最も気になる薄型,小型化に関しては,従来通りTDP(熱設計電力)を低く抑えた低電圧,超低電圧のモバイルPentium IIIでソリューションを提供。統合グラフィック機能を持つi830のバリエーションを近日中に追加すると共に,Tualatineベースの低電圧,超低電圧モバイルPentium III-Mが,今年第4四半期に量産出荷される予定だ。今のところ,いずれのタイプもクロック周波数は従来(750MHzと600MHz)より高速になるとしかアナウンスされていない。

     そして,これら4つのユーザーニーズ,すなわち高性能,長時間のバッテリ駆動,シームレスなワイヤレス接続性,小型のフォームファクタすべてに対しての答えとして用意しているのが,昨日発表されたモバイル専用設計のプロセッサ「Banias」だ。

     このBaniasについては,昨日の発表から技術的詳細はほとんどアップデートされていないが,いくつかの点については,より詳しい話を聞くことができた。それに関しては,IntelのBanias解説ビデオクリップと共に,別記事にて報告することにしたい。

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    [本田雅一, ITmedia]

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