News 2001年9月6日 09:03 PM 更新

クマイヌこと,“ラッテ&マカロン”と遊んできました

新型AIBOは,やはりダウンサイジングされた。だが,「ラッテ」「マカロン」と名付けられたクマイヌ型ペットロボットは,単なる“廉価版”ではない。むしろ,初代や第2世代のAIBOよりも,愛嬌があるような気さえしてくる……。

 初代「ERS-110」ならびに第2世代の「ERS-210」から,がらっと印象が変わった今回の「ERS-311/312」。「ラッテ」「マカロン」と名付けられた今回のAIBOは,自由度(可動部分)がERS-210の20から15に減り,同じ「OPEN-R」アーキテクチャをベースにしているものの,各パーツの取り外しはできなくなっている。

 またPCカードスロットも省かれ,PCと連携させた無線操作機能などは利用できなくなった。9万8000円という価格で提供するために,自立型4足歩行ロボットとして成り立つ最小限の機能に絞り込まれている。


残念ながら肉球は“プヨプヨ”してない……。特徴的なのは首輪のデザインだが,「何か機能があるわけではない。あくまでデザイン的なもの」(ソニー)とのこと。取り外しも不可。鼻の頭には赤外線センサー,口の中にはCMOSセンサーがある

 その理由は,このラッテとマカロンには,「より多くの人にAIBOの素晴らしさを体験してもらいたい」(ソニー)というメッセージが込められているからだ。実際,機能的なダウンサイジングにより価格を抑え,生産効率を上げることで,初月の出荷台数は4万台が計画されているという。

 この数字は,初代,第2世代それぞれの累計出荷台数に匹敵する規模である。ラッテとマカロンの登場で,AIBOを目にする機会も増え,ずいぶんと手に入りやすくなるだろう。そして,パーソナルロボット市場の形成を志すソニーにとって,AIBOプラットフォームの拡大は非常に重要な意味を持つ。

 また,ラッテとマカロンには,ERS-31xシリーズという型番が付けられているのだが,「第3世代のAIBO」とは呼ばれない。というのも,第2世代から技術的に進化させたというよりも,ERS-31xシリーズの目的は,AIBOのバリエーションを増やすことにある。ちょっと語弊があるかもしれないが,従来のAIBOが「ガンダム」だとすれば,今回のAIBOは「ジム」といったところだ(ガンダム嫌いの読者の方々,スイマセン。なお,ソニーでは第3世代AIBOの計画については「ノーコメント」だとしている)。

 ただ,ラッテとマカロンが,単なる“廉価版”だと見くびってはいけない。

ポイントは“目”

 まず,デザイン。AIBOといえば,“ロボットチックなイヌ”というイメージが定着しているが,今回は一転,ぬいぐるみのように丸みを帯びたデザインを採用した。このデザインに対する反応は,明日から東京・原宿の「ラフォーレミュージアム」で開催される一般向けデビューイベントで見るとして,とにかく,従来のイメージを覆すほどのデザイン変更が,ソニーにとって冒険だったことには間違いない。

 「新デザインは,現在中心の男性ユーザーだけでなく,女性を含めた幅広い層にAIBOの可愛らしさをアピールするのが狙い。そのために,ERS-210も併売することにしている。玩具っぽいと指摘されることもあるが,言うなれば,ラッテとマカロンこそが本物の“ロボット”玩具だ」(ソニー)。

 ハードウェア的に見ると,自由度が減ることは,そのまま動きのパターンが減ることになる。しかしながら,ラッテとマカロンでは,そのことを感じさせない(動かなくなったのが,耳やシッポ,口などで全体の動きに影響がある部分ではないことも関係ある)。良く言えば,自由度が少なくなったことを逆手にとって“可愛らしさ”をアピールことに成功しているように思える。


お姉さんの言うことを,何やら聞き込んでいるマカロン(別記事に動画もあり

 例えば,口をあけたまま上目使いされると,おねだりしている雰囲気が良く伝わってくる。目がLEDになっていた初代,第2世代とは異なり,目がちゃんとデザインされていることが,表情を作るうえで大きな役割を果たしているのだ。

 また,ハードウェア面で機能を減らした分,ソフト面では新しい機能がいくつか追加されている。例えば,ラッテとマカロンでは性格が異なることや,従来の1.5倍となる約75種類の言葉を音声認識できたり,オリジナルの名前を付けてあげることができる。さらに,テレビやラジオ,ならびにネットから流れてくる特定のメロディに反応して動く「メディアリンク機能」も備えている。


メモリースティック スロットはお腹の中に

 ちなみに,ラッテとマカロンのモチーフは“熊犬”とのこと。熊犬と書くとなんだかゴツイ感じになる。“クマイヌ”にしたほうが可愛らしい。ん? そもそもクマイヌって何だ……。

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[中村琢磨, ITmedia]

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