News 2001年9月10日 10:17 PM 更新

BIGLOBEがP3P対応を表明──個人情報保護へ一歩

BIGLOBEがW3Cの定めた個人情報保護規格,P3Pへの対応を表明した。国内サイトでは初めて。同社では,個人情報を利用したカスタマイズサービスを提供するため,適切なプライバシーポリシーを提示する必要があると強調している。

 NECが運営するISPのBIGLOBEが「P3P」(Platform for Privacy Preference)への対応を表明した。P3Pは,W3C(World Wide Web Consortium)が策定した個人情報保護の国際標準規格だ。

 「利便性の高いサービスを提供するために,個人情報の収集は不可欠。しかしながら,同時に,プライバシー侵害を防ぐために,きちんとしたプライバシーポリシーを提示する必要がある」(NEC)。

 なお,NECによれば国内のWebサイトでP3Pに対応したのはBIGLOBEが初めてだという。NECはP3Pの規格策定メンバーの1社。

ユーザーとの同意形成が重要

 P3P対応のWebサイトには,個人情報の利用目的や保存期間などの取り扱い方針がXMLで記述される。BIGLOBEではプライバシーポリシーとして,氏名や住所,メールアドレス,CookieやIPアドレスなどの取り扱いについて埋め込む計画。

 これにより,P3P対応Webブラウザでアクセスすれば,「サービス事業者とユーザーの間で,プライバシー保護に関する同意形成を図れる」(NEC)というわけだ。なお,現時点で,P3Pに対応しているWebブラウザは,米Microsoftの「Internet Expolorer 6」(IE6)のみ。


IE6のセキュリティ設定画面。従来に比べ,容易に設定できるようになっている(拡大画像

 さらに,IE6でP3P“非対応”のサイトにアクセスすると,cookieをブロックすることができる。「cookieそのものが個人情報保護の敵というわけではないが,cookieで収集した情報を,名簿業者などが2次利用することを防ぐのは必要なことだ」(NEC)。

P3P対応へのコンサルサービスも


IE6では,Webサイトのプライバシーポリシーを確認することも可能。P3Pに対応していない場合は画面のように表示される(拡大画像
 ただ,BIGLOBEがP3Pに対応すれば個人情報保護は万全というわけでもない。BIGLBOEのような複合的な大型サイトの場合,広告ならびにサードパーティのコンテンツの対応が重要となるからだ。

 これらがP3Pに対応していない場合,突然,Webページの表示に時間がかかるようになったりするほか,サービス自体が利用できなくなる場合もある。


P3Pに対応しないWebサイトにアクセスした場合,“進入禁止”の警告を出すこともできる(拡大画像

 まず,広告については,BIGLOBEの広告代理店であるサイバーウイングの広告配信サーバが既にP3Pに対応済みだという。「これまでも,cookieを使う広告は配信していなかったが,P3Pに対応することで,ユーザーにはより安心して使ってもらえるようになる」(サイバーウイング)。

 一方,サードパーティのコンテンツサーバについては,「P3Pへの対応を呼びかけている段階」(NEC)だ。

 「確かに,BIGLOBEを構成する全てのコンテンツサーバがP3Pに対応するのが望ましい。強制的ではないが,NECではプライバシーポリシーの作成方法など,P3Pに対応するためのコンサルティングサービスも提供していく」(NEC)という。

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[中村琢磨, ITmedia]

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