News | 2001年9月12日 11:55 PM 更新 |
日本SGIの関連会社であるシリコンスタジオが,日本ヒューレット・パッカード(HP)のIA-32ワークステーション「hp workstations」シリーズを取り扱うことに決めた。さらに両社は,DCC(デジタルコンテンツクリエーション)市場に対する共同販売・マーケティングの分野でも提携している。
SGIの関連会社が,SGIとはPCベースのワークステーションで競合関係にある日本HPと提携――業界の常識では,シリコンスタジオが日本SGIに“反旗を翻した”とすら言われても仕方のない出来事である。
シリコンスタジオに叛意があったと見るのは,事実とちょっと違うようだが,同社がSGIの現状に危機感を感じていたのは確かなようだ。実際,シリコンスタジオインダストリーセールス統括部の北恭一郎氏は,「日本SGIのロードマップには不安を感じた」と話す。
シリコンスタジオは,日本SGIのエンターテインメント市場向け事業を分割するかたちで2000年1月1日に設立された。もちろん,販売するハードウェアは日本SGIの製品が中心だ。
ところが,シリコンスタジオの主力製品であるIA-32ワークステーションの開発を日本SGIが中止。「Itanuium」ベースのIA-64ワークステーションへと移行したため,「製品ラインアップに空きができた。ほかの企業の製品を取り扱うのは当然の流れ」(シリコンスタジオ)。
「日本HPの製品は,インテグレーションに優れている。常に最新の環境をテストすることが可能だ」(北氏)。
ただ,UNIX(IRIX)ベースの製品については,従来通り日本SGIの製品を取り扱っていく。「決して,日本SGIと決別したというわけではない」(シリコンスタジオ)。
なお,シリコンスタジオが取り扱うhp workstationsシリーズは,「x1000」「x2000」「x4000」の3製品。これに,シリコンスタジオが3DCGモデリングソフトやゲーム開発用ミドルウェアなどを組み込み,チューニングして提供することになる。
「デジタルコンテンツ白書2001」では,デジタルコンテンツ市場(プロダクツ・サービス・コンテンツをあわせたもの)の規模は,2000年実績で9兆9735億円,2001年は12兆256億円に成長すると予測している。
実際,ブロードバンド需要で,ストリーミング配信用のCG製作やCGを駆使したWebコンテンツ製作へのニーズは高まっており,市場自体は拡大している。しかしながら,北氏は「単価が下がっているだけに,製作・開発環境の1システムあたりの利益は,非常に厳しい」と話す。
「儲けでいえば,UNIXワークステーションのほうが大きい。しかしながら,需要的にはIAワークステーションが勝っている」(北氏)。
シリコンスタジオが,“謀反”ともいえる提携に及んだのは,こうした状況を打開するための「営業力の強化」に迫られていた――と見ることができるだろう。
日本HPにとっても「ゲームハウスや映像プロダクションなど,DCC市場でのシェアを拡大させる」(日本HPビジネスカスタマ事業統括本部の望月学氏)というメリットがあるのはもちろんだ。
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