News 2001年9月17日 11:53 PM 更新

「Windows XP Plus!」で期待されたあの機能は?(1)

OS本体ではカバーできなかった分野を補足するPlus!。Windows XP用のPlus!には,DVD再生/MP3コーデックのソフトウェアモジュールが同梱されると見られているが……。

 米国でのWindows XP店頭パッケージ発売まで5週間に迫ってきた。すでにOEM各社はプリインストールPCの準備をほぼ完了しており,米国では今月中にも出荷される見込みだ。ニューヨークで発生したテロの影響で物流が一時寸断された影響はあるものの,月が変わらないうちに出荷が開始されるだろう。すでにWindows XPプリインストールPCの予約受付を開始するベンダーも登場している。

 さて,Windows XPの機能に関しては,ZDNNを読んでいる読者にはすでにお馴染みとなっているが,ベータテストから製品版に移り変わる中で議論されてきたのが,「DVD再生モジュール」と「MP3 CODEC」の提供方法である。米Microsoftはこれら2つの機能をWindows XPの製品版には組み込まなかったが,Windows 95以来の恒例となっているアドオンパッケージ「Plus!」に組み込む形で提供されると考えられてきた。

 かつてPlus!は,インターネット機能を持たないWindows 95にインターネット接続・閲覧機能を追加したり,Windows 98にウィルス検出ソフトやフォトレタッチソフトを加えるなど,OS本体ではカバーできなかったエリアを補足するパッケージとして,Windowsユーザーに安価に提供されてきた。しかし,Windows XP用のPlus!の中にも,残念ながらDVD再生やMP3コーデックに対応するためのソフトウェアモジュールは含まれていない。

MP3→WMAへの移行ソフトを添付

 Windows XPには,Windows Meや2000で利用できる「Windows Media Player 7」の後継版である「Windows Media Player 8」(WMP8)が同梱されている。

 WMP8ではMP3への対応強化が図られ,「ID3V2」タグへの対応や追加CODECを組み込むことで音楽CDからMP3を用いて録音するための機能が組み込まれている(WMP7ではMP3での録音は行えない)。

 一時,Microsoftはベータ版にMP3 CODECを組み込んでいたが,その後の議論の中で,これを製品版には同梱せずに出荷することになった。そこで期待されていたのが,Plus!へのMP3 CODEC同梱である。

 ベータテスト期間中,MP3のオリジナル開発ベンダーのうちの1社であるドイツのFraunhofer-Gesellschaft IISは,WMP8に対応したMP3 CODECを一部のWindows開発者向けに配布していた。これを組み込むと,WMP8のCD録音設定タブの中に,録音形式としてMP3が選択できるようになる。

 しかし,最終的にPlus!に同梱されたのは,こうしたサードパーティ製MP3 CODECではなく,既存のMP3をWMA(Windows Media Audio)へと変換するためのツールだった。

 これは,「Plus! MP3 Audio Converter」と呼ばれるもの。特定のファイルあるいは指定フォルダ内のすべてのMP3ファイルをWMAへと変換することで,ハードディスク上の音楽ファイルサイズを最適化できると説明書には記載されている。

 MP3の一般的なビットレートは128Kbps〜192Kbpsだが,WMAでは同程度の音質を64Kbps〜96Kbpsで得られると,Microsoftは主張しているからだ(もっとも,高音質化が進んだとはいえ,64KbpsのWMAが鑑賞に堪えうる音質かどうかは疑問の残るところだ)。

 一括変換のほかファイル上でマウスの右ボタンをクリックすると任意ビットレートのWMAと変換できるようにエクスプローラとの統合が図られており操作性はいい。

 既存のMP3ユーザーをWMAへと取り込むためのツール? とも捉えられる。実際,“WMA対MP3”の音質談義に興味がないユーザーにとってみれば,単純に,ハードディスクを節約するために所有の音楽データをWMAに移行しようとする人も現れるかもしれない。

 しかしユーザーがMP3を利用するのは,CODECとしての性能が理由ではないだろう。広く普及した(しかも面倒な著作権管理から逃れられる)相互運用性の高いデータ形式だからこそ利用しているのだ。

 だからこそ,Microsoft が自社ブランドのパッケージでMP3コーデックをサポートしなかった点は見逃せない。MP3への対応を強めたWindows XPやWMP8によって,MicrosoftはMP3の方へと歩み寄ったかに見えたが,結局のところWMAという独自の道からは一歩も踏み出さないことを宣言したようなものだからだ。

DVD再生は別パッケージが必要に

 さてWMP8には,MP3への対応以外にもう1つ,WMP7にはない機能が組み込まれている。それがDVDプレーヤとしての機能だ。WMP8のDVDプレーヤ機能は,「DirectShow」を通じて対応するDVDプレーヤソフトの心臓部を呼び出すことで動作するようになっている。つまり,DirectShow対応のプレーヤソフトが別途必要になるわけだ。

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