News 2001年9月21日 10:00 AM 更新

サーバアプリに進出するユーリードの狙い

ユーリードシステムズが,サーバ用画像関連ソフトの開発を強化している。コンシューマ向けのパッケージソフトだけでは,遠からず頭打ちになると考えたのだろうか。Way-Zen Chen会長に狙いを聞いた。

 ユーリードシステムズが,“新たな道”を切り拓こうとしている。ユーリードといえば,画像編集ソフトの「PhotoImpact」シリーズや3Dアニメーションツールの「COOL 3D」シリーズなど,イメージング関連のソフトが有名。最近では,「VideoStudio」のようなDVD編集&DVDオーサリングツールにも力を入れている。そんな同社が,新たに見せている動きがある。それは,サーバ分野への取り組みだ。

 ユーリードは,サーバ向け製品を担当する「iMira」事業部を設立。既に,オンライン画像編集エンジンの「iMira EDITING」がコニカのWebサイトに導入されるなど,出足は好調なようだ。マイクロソフトに次ぐ大規模なブースを構える「WORLD PC EXPO 2001」の会場で,台湾Ulead SystemsのWay-Zen Chen会長,ならびにユーリードの下村慶一社長に,サーバ分野進出の狙いについて聞いた。


Way-Zen Chen会長(左)と 下村慶一社長

新しいビジネスを開発

 コンシューマー向けのパッケージ製品だけではいずれ頭打ちになる――そんな危機感がユーリードにはあるのだろうか。サーバ分野の製品開発についてChen会長は,「サーバ分野の製品を投入するのは,デバイスの多様化といったトレンドに対応し,ユーザーのニーズに応えることが目的だ」と説明する。

 例えば,ユーリードでは,「Web Camereon」というサーバ用アプリケーションを発売しているが,これは,PC用のWebページを携帯電話や携帯端末向けに変換するものだ。「従来の資産を活用し,新しいジャンルを開拓する。まだ同時に,パッケージ製品とのシナジー効果を生み出すこともできる」(同)。

 さらに,Chen会長は,サーバ向け製品の今後の展開として,「イメージコンテンツセキュリティ」というアイデアを披露した。ベースとなるのは,画像検索システム。それにセキュリティ機能を付加することで,新しいビジネスが生まれるという。

 「現在は特定の画像だけを検索するシステムは存在しない。特定の画像に関してセキュリティをかけられるようになれば,例えば,ポルノ画像の取り締まりなどに使えるだろう」(下村社長)。

 ただ,Chen会長は,「サーバ分野に力を注いでいくが,コンシューマ向けのソフトがユーリードの主力製品であることに変わりはない」と強調する。

 同会長は,「ワールドワイドの売上は,2年後に75億円を見込んでいる。比率では,サーバ向けが15%,コンシューマー向け製品が75%,OEMが10%ぐらいになる」と見る。「ただ,サーバ分野は立ち上がったばかりで,成長率からいえばパッケージを凌ぐ」(下村社長)。

 「サーバ分野は新規に参入する分野であり,容易にいくものではない。だが,LinuxとJavaをベースにソフトウェアを開発することで,他社がプラグインを開発することを容易にし,プラットフォームを拡大させる」(同会長)。また下村社長は,「ニッチな分野に注力することで他社との差別化を図っていく」と意気込みを語った。

ユーリードがドットコム企業?

 こぼれ話になるが,サーバ分野を担当するiMira事業部。20〜30人のメンバーで構成されるこの事業部は,もしかしたら,ドットコム企業になっていたかもしれないという。

 下村社長によれば,Chen氏はメッツの永田典久社長と交流があり,ソフトのダウンロード販売など,インターネットを活用したビジネスについて意見を交換していた。その一環として,iMiraブランドで画像に関係したコミュニティサイトが立ち上がる。またユーリードでは現在,小規模ながらダウンロード販売も行っている。

 iMiraに関して,当初は広告モデルでドットコム企業化も検討されたが,「実際に利益をあげるための方法がなかなか定まらず,結局実現されることはなかった。「今から考えると,運が良かった」(Chen氏)。「このときコミュニティサイトを開始したことが,サーバ分野の製品を開発するヒントになった」(下村社長)。

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[中村琢磨, ITmedia]

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