News 2001年10月3日 00:04 PM 更新

液晶,次はどうなる?――シャープ編(2)

わずか3.2ミリのプラスチックTwin液晶

 従来の液晶はガラス基板2枚で作られているが,代わりにプラスチックを使う液晶は薄型・軽量に加え,加工しやすいといった特徴がある。また,落としたときに割れにくいなど,耐久性も高く,モバイル向きだ。

 その機能を更に生かそうとするのが,プラスチックを使ったTwin液晶だ。これはメイン液晶とサブ液晶を一体化することで,薄型・軽量化を図ったもの。参考展示されていた次世代クラムシェルタイプ携帯電話用の1.9インチのモジュールは,厚さがわずか3.2ミリしかない。


Twin液晶の参考展示

 携帯向けでは,1.9インチの第2世代GFカラー液晶(120×160ドットで6万5536色)の展示も行われていた。これは今年4月に開催された電子ディスプレイ展では「開発中」だったもので,今回はそれが「ニューラインアップ」だった。

 展示では,反射率35%の反射型から同25%の半透過型,コントラスト比60:1の透過型液晶まで,タイプの異なる4製品を並べており,用途にあわせた対応力をアピールしていた。


プラスチック液晶は加工が容易なので自由な形状がとれる

紫LEDで鮮やかな色を

 液晶モジュールの要素技術で注目されたのは,紫色LEDによる白色LEDバックライトだ。これは光源として波長が405nmの紫色LEDを使い,3波長蛍光体と組み合わせることで,白色発光を実現する。

 従来,TFT液晶の光源に用いられてきた冷陰極管は,輝度が低く,また,それ自体の色味の影響で赤色がどうしても黄みや青みを帯びてしまい,鮮やかな「赤」を再現しきれないという難点があった。水銀使用のため,環境上の問題が生じるという非常に大きな問題も抱えていた。

 そこでRGBの3チップを搭載したLEDを光源として使う「LEDバックライト」の開発・採用が徐々に進み始めている。このLEDバックライトの良さは,鮮やかな赤色に加え,高速応答性・長寿命などだ。


赤色の再現に優れるLEDバックライト

 紫色LEDを使った白色LEDバックライトはさらにその先にある技術で,1つのチップで白色発光させられるため,多数点灯時に各LEDの色調整を行う必要がない。また,1つのLEDで3波長を持っていることで,青色LEDを使った擬似白色発光と比べ,色の再現性も高いという。この紫色LEDや紫外LEDは,東芝など他社のブースでも展示されていた。

 短波長のLEDでは青色LEDが知られているが,同LEDは基本特許を持つ日亜化学工業がライセンス供与などで厳しい特許政策を進めたことで,各社とも苦しめられている。紫色LEDはこの青色LEDよりさらに波長が短く,「現時点では日亜の特許には抵触しないと考えている」(同社)。

 携帯用途などで求められる省電力性能は現時点では今ひとつのようだが,「研究所レベルでは日進月歩で高まっている」(同)という話だった。高品位な色再現が求められるマルチメディア・モバイルデバイスでの採用が,今後数年の間には期待できそうだ。

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[中川純一, ITmedia]