News 2001年10月16日 11:55 PM 更新

AIBOとは違う? オムロンの猫型ロボット「ネコロ」が目指すモノ

ロボットのはずなのに……。人工毛皮を纏ったオムロンの猫型ペットロボット「ネコロ」は,見た目も振る舞いも,本物の猫にそっくりだ。

 「リアル過ぎる」という声が聞こえてくるくらい,オムロンの猫型ロボット「ネコロ」の完成度は高い。本格指向のペットロボットとして,もしかしたらソニーの「AIBO」を凌ぐかもしれない──。

剥製のようにも見えるネコロ

 オムロンが猫型ロボットを開発していたのは有名な話だ。IT関連のイベントでよく見かけたものだし,「www.petrobot.com」というWebサイトでは研究内容も紹介されていた。オムロンによれば,ネコロの製品化までには基礎研究から数えて約4年を要したという。

 オムロン事業開発本部の増田英樹副社長は,ネコロには「オムロンのコアコンピタンス技術を結集させた」と強調する。コアコンピタンスというのは,FAシステム事業で培ったセンシングやコントロールといった制御技術,ならびに人工知能のことである。

 例えば,ネコロは自分がどのような“扱い”を受けているのか理解することができる。頭とアゴ,背中に触覚センサーを内蔵し,叩くと機嫌が悪くなり,撫でてあげるとまさに“猫なで声”を出すといった具合だ(鳴き声は48種類もある。もちろん,喉をゴロゴロならすことも)。また,内蔵の加速度センサーにより,自分の姿勢を認識することができ,逆さ吊りにしたりすると,怒って威嚇しだすという。


ミッキーロークばりの「ネコパンチ」(!)も繰り出すネコロ。サイズは,尻尾を除いて,260×160×320ミリ(動画を見る/mpeg1形式・約1.6Mバイト

 感情生成については,オムロン独自の「MaC」(Mind and Consciousness」モデルで実現。怒りや喜びといった表現に加え,飼い方によって自分勝手になったり,甘えん坊になったりすることもある。さらに,成長にするにつれ表現パターンも増えていくという。「心理学理論に基づいた構造によって感情を生成し,意志決定や行動生成に反映させることができる」(オムロン)。

 また,ネコロは首だけで2自由度あるほか,マブタ・耳・口もすべて動くようになっており,複雑な表情やしぐさを作るのに貢献している。また,全体では15自由度になり,プログラムされている動作パターンは数十に上る。

 ペットロボットでお馴染みの音声認識機能はどうだろうか。実は,ネコロは音声ではなく,声の波形を認識するシステムになっている。つまり,ある単語に対して反応するのではなく,特定の波形を持つ音声に対して,リアクションする仕組みなのだ。

 そのためネコロは,繰り返し耳に入ってくる音声を自分の名前だと判断することになる(名前を呼んでも,声の波形が違うと反応しないというから,なかなか本格的だ)。もし,ネコロに「むかつく〜」などと愚痴ってばかりいると,それが名前だと思い込んでしまうから,要注意だ。

5000体は手作り!

 オムロンの技術の粋が集められたネコロ。だが,事業開発本部電子ペットプロジェクトリーダーの田島年浩氏によれば,ネコロの開発で一番苦労したのは,人工毛皮だという。

 「ぬいぐるみとは異なり,ペットロボットには複雑な動きがある。素材の問題など,オムロンにはないノウハウが必要だった」と田島氏。

 さらに,ネコロは5000台の限定発売なのだが,「一体,一体,人の手で人工毛皮を着せた。5000台すべて,顔の作りが微妙に違う」(田島氏)という手の込みよう。18万5000円と高価になってしまったのも,このあたりに理由があるのだろうか。

 「AIBO」オーナーの間でも,着ぐるみを発売してほしいという声が少なくない。人工毛皮をまとったネコロは,マンションなどで本物の猫が飼えない猫愛好家の心をがっちり掴むのは間違いないだろいう。ただ,毛が抜けるところまで本物らしさを追求しなくてもいいかも。

 何気なく抱っこしてやると,1.6キロ(バッテリー内蔵時)のネコロは,重すぎず,軽すぎず,抱き心地も良好なのだが,服に毛が付着するのだ。そして,このまま毛が抜けていったらどうなるのだろうか。まさか,新しい毛が生えてくるなんてことあるわけないだろうし……。

 オムロンによれば,アフターサポートとして「毛皮交換サービス」も提供するとのこと。「外見がぬいぐるみのようなので,扱いが雑になって,うっかりジュースをこぼしてしまうということも考えられる」(オムロン)。なお,同サービスは有償で提供する予定だが,値段などは未定だという。

歩行タイプは登場するか?

 「人と機械が自然にコミュニケーションする」をコンセプトに掲げるオムロン。ネコロからは,それが実践されているのも良く伝わってくる。ただ,コミュニケーションできるのが1時間30分というのは,ちょっと物足りない(充電式ニッケル水素バッテリーを使用。2時間でフル充電)。それと,どうせなら歩行もできるようにしてほしかった。

 ムービーを見た人は気が付いたと思うが,ネコロは,歩けない。田島氏は,その理由を「コミュニケーション機能に重点を置いた。歩行するかしないかは,大きな問題でない」と説明する。

 ただ,増田氏は「ネコロをスタートにして,今後もこの分野の事業を展開していきたい」とも匂わした。次は,歩行可能な猫型ロボットが登場するのだろうか?

 「ネコロのテーマは,“人に優しい機械”。このコンセプトで発展させていく。具体的なイメージとしては,例えば,券売機のロボット化が挙げられる。券売機は,必ずしも高齢者に優しいシステムではない。人型ロボットが案内できるようになれば素晴らしいのでは」(田島氏)。

 さすが,券売機業界トップシェアのオムロンといったところか。

関連リンク
▼ オムロン
▼ ネコロ

[中村琢磨, ITmedia]

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