News | 2001年10月29日 11:05 PM 更新 |
10月1日より運用が開始された新TLD(Top Level Domain)の「.info」。その.infoドメインを管理しているのは,ドメイン登録事業者18社から構成されるAfiliasというコンソーシアム。同コンソーシアムのRichard Lindsay会長に.infoドメインの展望について話を聞いた。
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AfliasのLindsay会長。グローバルメディアオンライン(GMO,旧インターキュー)の取締役でもある |
ZDNN:.infoドメインの登録状況を教えて下さい。
Lindsay:現在,.infoの登録数は全世界で50万件になります。分布としては,欧州が約半数でトップ。中でも,ドイツがその3割を占めています。続いて米国が約4分の1。アジアは5%程度で,日本は1万件といったところです。1日あたりでは,全世界で5000件程度の登録があります。
ただ,当初は,ブランドや商標権を持つ企業を保護する期間として設置した「サンライズ期間」に100万件の登録を見込んでいました。新しいTLDの導入は革命的な出来事だと思っていたのですが,正直,静かなスタートといった印象です。
ZDNN:日本での登録件数が少ないようですね。
Lindsay:その通りです。.infoドメインの日本での知名度は低いですね。欧州で.infoドメインが人気を集めたのは,.comドメインを取得できなかった企業が流れてきたからだと考えられます。一方,日本では汎用jpドメインもありましたので,その影響を受けたのかもしれません。ただ,マルチリンガルのWebサイトを構築する場合,.infoは役に立つはずです。
ZDNN:.comではなく,.infoを使うメリットとは?
Lindsay:インターネットの存在意義は,情報収集にあります。みんな,情報を求めてアクセスしてくるのです。そう考えると,.infoはインターネットの“基礎”になるTLDだと言えるのではないでしょうか。ICANNは.infoのほか,.bizや.airなど全部で7つの新TLDを導入しますが,登録者を選ばない.infoドメインが最も普及すると思います。
例えば,企業のPRやIR情報は全て.infoドメインのサイトに掲載するとか,使い方はいくらでも考えられます。.comの場合,もともとは「commercial」(商業)を表すドメインでしたが,今では.com自体の意味などは全く重視されていません。「情報」を意味する.infoのほうが企業のブランディングには役立つのではないでしょうか。
ZDNN:既に.comを使っている企業が,.infoに乗り換えると思いますか?
Lindsay:これまで,TLDの世界には競争がなく,みんな,.comで済ませていました。そのため,TLDが何であるかなど,誰も気にしなくなり,とにかくWebサイトにアクセスしたりメールが使えればいいと考えるようになってしまいました。
そうした状況で,.infoをはじめとする7つの新TLDが追加されたことで,ドメイン名の新しい使い方を,みんなで考えるようになるでしょう。.tvのように,ドメイン名をもっと戦略的に扱うことが重要なのです。それに,.comが普及しているといっても,インターネットはまだまだ黎明期。現在の常識が,5年,10年後も常識であるとは限りません。
ZDNN:問題は時間だけだということですか?
Lindsay:おそらく。現在は,どの企業もWebサイトへの投資を控えている。新しいTLD導入によるコストや,現在のWebサイトを.infoドメインに移行するコストなどを考えると,みんな及び腰になってしまいます。だが,ドメインは種のようなものなのです。蒔いて(登録して)おけば,必ず芽が出る。今は必要なくても,将来的には.infoが役に立つことになるでしょう。
ZDNN:「とりあえず登録しろ」と脅されているみたいなのですが(笑)
Lindsay:ドメインビジネスには,そういった側面は付き物です。否定はしません。でも,.infoドメインを使って何かできると多少でも思うなら,登録だけしておいても損はないでしょう。そんなに高いのものではありませんから。
それと,「ドットコム企業」はネットバブル崩壊で印象が悪くなってしまったので,これからは,「ドットインフォ」時代が必ず来るはずですよ(笑)。
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