News | 2001年11月1日 04:35 AM 更新 |
ピンク,である。
JR有楽町駅の京橋口を出ると,ピンクの大きな屋根と,白い壁が直ぐに目に飛び込んで来た。
アパレルやコスメの専門店ならありそうな作り。キティちゃんがいれば「サンリオショップ」で通るかもしれない。アウトレットモールやファミレスも“あり”だ。しかし,パソコン量販店とだけは,考えないだろう。
だが,これは間違いなく“パソコン量販店”。11月1日開店のソフマップの戦略店舗「有楽町ソフマップ」なのだ。
ピンクの大屋根が印象的な「有楽町ソフマップ」の外観 |
このお店のポイントはもちろん,若い女性を強く意識していること。「目標としては,客層を男女半々で考えている」(加藤幸司店長)。男女比が1000対1ぐらい?だった10年前はともかく,最近ではパソコン量販店にも女性の姿がずいぶん増えた。しかし,半々というのは半端じゃない。
だが,それも可能かもしれない。そう思わせるだけのものが,確かにこのお店にはある。外観もそうだが,テナント構成もその1つ。
お店は「東京宝塚1000Days劇場」跡の「有楽町インフォス」1階に入っているが,2階には良品計画の「MUJI(無印良品)」。そして,1階エントランス部分の脇にはイタリアンなバール「SCORPIONE STAZIONE」があり,地階は「紅虎餃子房」。要するに,昼休みやアフター5のOLを迎撃するためには“鉄壁の布陣”なのだ。脇にパーツ屋,裏に「九州じゃんがらラーメン」――では,決してない。
店の内装もそう。パソコン量販店の店内と言えば,安売りをうたうポップがベタベタ貼られ,猥雑な中にもエネルギーを感じさせる作りになっているのが相場だ。店のロゴや店内のカラーは,原色ギトギト系か,ハイテクな印象を漂わせる黒やシルバーを基調にしたものが多い。
入り口からすでにこのノリである。なんかドギマギした |
ところが「有楽町ソフマップ」の内装は,白をベースに,赤みがかった紫(江戸紫というそうだ)とオレンジでアクセントを付けている。全体に柔らかい印象で,目を刺激する原色や金属的な冷たさを感じさせる部分は見当たらない。「ヒーリング効果がある配色」(畠フェイ貞久良副店長)だそうで,とすれば,初の癒し系パソコンショップなのかもしれない。
ポップがベタベタなんてこともなく,至ってシック。例えば,写真は携帯電話の売り場だが,色調は店のカラーである紫で揃えている。
携帯電話売り場。ベタベタ貼るポップ広告の類はしない方針と言う |
お店のロゴも紫地に白と,イメージカラーとお揃いだ。ソフマップのいつものロゴ(赤・青・黄色のやつだ)は,量販店の中ではかなりお洒落だと思うが,それをあえて変えているのだ。
極めつけはトイレ。男性用も普通のパソコン量販店と比べれば格段にきれいだが,女性用にはなんとパウダールームまである。写真を見て,これがパソコンショップのものだとわかる人はいないだろう。やや狭いが,シティホテルのものだと言っても通る。
女性トイレのパウダールーム。1日以降男は入れない。念のため |
ここまでくれば,売り場も普通のパソコンショップと同じはずがない。無論,置いてあるのはパソコン本体や周辺機器,携帯電話,デジカメ,ソフト,ゲーム,雑誌・書籍など量販店の定番と言えるものが中心だ。その点は変わりがない。いや,かなりのスペースを割いて,中古品すら売っている。
しかし,歩いていると,徐々に違和感がこみ上げてくる。なにかが違う。アキバのパソコンショップや大型量販店を歩き続けて培った方向感覚のようなものが,どこか狂わされていくのだ。