News 2001年12月5日 11:16 PM 更新

デジカメ向け“最強乾電池”――東芝電池がGigaEnergyを発表(1)

高出力特性を向上させた東芝電池の一次電池「ニッケル電池」は,デジタルカメラでの使用時に,アルカリ乾電池に比べ約5倍長持ちするという。

 東芝電池は12月5日,次世代タイプの一次電池「ニッケル乾電池“GigaEnergy(ギガエナジー)”」を発表した(別記事を参照)。デジタルカメラなど高出力を必要とするエレクトロニクス機器での使用時に,従来のアルカリ電池に比べ約5倍も長持ちするという。


次世代タイプのニッケル乾電池“GigaEnergy”

 GigaEnergyは,「特にデジタルカメラに的を絞った」(鈴鹿芳朗社長)という乾電池だ。常温時(25度)では,アルカリ乾電池に比べて約5倍の長寿命を発揮する。同社のテストによると,単3形乾電池4本を使うデジタルカメラ(東芝Allegretto PDR-M60)では,同社アルカリ乾電池使用時の撮影枚数(約81枚)と比べて約5.2倍の419枚が撮影できたという。


アルカリ乾電池に比べて約5倍の長寿命を発揮する

 さらにGigaEnergyでは,これまで乾電池の苦手とされてきた「低温環境」に強いのも特徴。氷点温度(0度)で使用したテストでは,17枚しか撮影できなかったアルカリ乾電池に比べ,294枚と実に約17倍というケタ違いの性能を見せている。

 GigaEnergyの容量自体はアルカリ乾電池と同じで,公称電圧も1.5ボルトと変わらない。サイズも普通の単3形乾電池そのものだ。それでは,なぜこのように長寿命の動作が可能なのか。

長寿命の秘密は「高出力特性」

 デジタルカメラは,フラッシュやズーム機構など電力を消費するシステムが多いため,瞬間的な高出力が必要となる。一方,アルカリ乾電池は経過時間とともに徐々に電圧が下がっていく出力特性を持つ。「デジカメの場合,乾電池1本の電圧が1ボルトを下回るとバッテリー切れとなってしまうことが多い」(同社)。デジカメで使用済みとなった乾電池を,置き時計やMP3プレーヤーで再利用しているユーザーも多いだろう。

 充電して何度も使えるニッケル水素やリチウムイオンなどの二次電池は,経過時間に伴う電圧低下が少なく,容量を使い切る寸前でガクッと電圧が落ちるというデジカメ向きの出力特性を持つ。そのため最近では,二次電池がデジカメ電源の主流になりつつある。

 しかし,二次電池と比べて価格も安く,コンビニや駅の売店などで手軽に購入できるという乾電池ならではのメリットも多い。「どこでも使用できる乾電池の利便性は,誰もが認めている」(鈴鹿社長)。

 GigaEnergyは,アルカリ乾電池の弱点であった高出力特性を向上させることで,高出力が必要なデジカメ使用において飛躍的に電池寿命を延ばすことに成功した。

 正極(+側)には二次電池に使用されているオキシ水酸化ニッケルを使い,高密度充填や整った層状構造の結晶開発,粒子表面の改質など先進の乾電池製造技術を集約。「一次電池と二次電池の製造技術を融合させることで,ニッケル乾電池ができあがった」(同社)。


先進の乾電池製造技術を集約したGigaEnergy

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