News 2001年12月19日 11:01 PM 更新

中堅IT技術者のルーツがここに――来春復刻の「電子ブロック」に迫る!

1970年代に小中学生の憧れの的だった電子ブロックが復刻,2002年春に発売される。学研「大人の科学」編集長の金子茂氏に,電子ブロック復刻の経緯や商品化にあたっての苦労話を聞いた。

 30〜40歳代のIT技術者の原点――あの「電子ブロック」が来春復刻される。

 1970年代に小中学生の憧れの的だった電子ブロックを学習研究社が「大人の科学」シリーズとして復刻,2002年春に発売する。(11月21日の記事参照)。


2002年春に復刻する電子ブロック

 電子ブロックは,トランジスタや抵抗,コンデンサといった電子部品が組み込まれた透明のプラスチック製ブロックを並べ替えることで,ICラジオや嘘発見器などさまざまな電子回路を作り出すことができる科学玩具。遊びながら,電子回路を学ぶことができた。小中学生の頃に電子ブロックでエレクトロニクスの楽しさを知り,それが興じて生業としてしまったIT業界関係者も多いことだろう。

 学研「大人の科学」編集長の金子茂氏に,電子ブロック復刻の経緯や商品化にあたっての苦労話を聞いた。


学研「大人の科学」編集長の金子茂氏

ZDNet 電子ブロック復刻のきっかけは?

金子氏 もともと,大人の科学のバリエーションの1つとして候補には上がっていましたが,コスト面や果たしてニーズがあるのかという点で棚上げになっていました。きっかけは,大人の科学シリーズのユーザーカードで「電子ブロックをぜひ復刻して欲しい」という声が多数寄せられたことです。

 ターゲットは,当時高嶺の花で買ってもらえなかった,現在30〜40歳代の人。これらユーザーのお子さんもちょうど小中学生ぐらいなので,親子で楽しむ玩具としても最適なのではないでしょうか。

ZDNet 電子ブロックにはさまざまな種類がありますが,今回の復刻モデルは?。

金子氏 今回復刻されるのは,1976年に学研が発売した大ヒットモデル「EX-150」です。電子ブロックと言えば,このモデルを思い出す人が一番多いことでしょう。その名が示す通り,150種類の回路を構成できます。

 もともと電子ブロックは,名古屋の電子ブロック機器製造という会社が開発したものでした。その後,学研と提携して学研ブランドとして全国展開し,一気にメジャーになったのです。電子ブロック機器製造では現在でも,教材用として電子ブロックを販売しています。今回の復刻モデルでも,検品などで協力してもらうことになっています。


電子部品が組み込まれたブロックの並べ替えで,150種類の回路を構成

ZDNet EX-150の価格について。

金子氏 EX-150は,発売当時の値段が1万3000円と大変高価でした。これは,当時の物価や平均月給を考えると,現在の4万〜5万円に相当するでしょう。玩具の最高峰として小中学生の憧れの的でした。現在だと,プレイステーション2が値段的にも相当するでしょうか。

 今回の復刻にあたって,まず最初に考えたのは価格でした。当時,高価すぎて手に入れることができなかったユーザーがポケットマネーで買ってもらえるように,なんとか1万円を切ることが目標でした。

ZDNet 電子ブロックは,当時でも手作業で生産していた部分が多いと聞きます。9800円という価格で,採算は取れるのでしょうか?

金子氏 日本国内で作っていては到底採算があいませんので,今回のEX-150は中国で生産する予定です。それでも金型を新しく作り直したり,ブロック内の電子部品の中にも現在入手できないものがあったので,それも新たに作っています。そのほか,回路集やパッケージは当時のデザインを流用するなどコストを切り詰めていますが,採算的にはトントンですね(笑)。ただ,当時の回路集はブロック組立図と実際の回路図,解説が1ページにまとめられて,とてもよくできています。


当時のデザインを流用したパッケージ(上)と回路集(下)

ZDNet 復刻にあたって苦労したことは?

金子氏 何しろ20数年前の商品なので,EX-150の現物が学研内に無かったのが困りました。アンプ無しでブロックも少ない下位モデルや,海外で発売していたモデルはあったのですが,肝心のEX-150が手元に無かったのです。結局はYahooオークションでデッドストックをやっと探し出しました(苦笑)。その貴重な1台も,今は生産開発のため中国に行っています。


EX-150の下位モデルと海外モデル。ヤフオクで入手した貴重な1台は中国へ

ZDNet 発売時期について教えて下さい。

金子氏 開発当初は,クリスマスに間に合うようにと年内発売を目標にしていたのですが,金型を新たに作るなど生産面で手間どってしまいました。最初の製品見本が出来上がるのが来年1月頃になりそうです。発売は来春とだけアナウンスしていますが,だいたい4月後半のゴールデンウィーク前を目標にしています。生産の追い込み時期と中国の旧正月とが重なるのが心配です。

ZDNet どこで購入できますか。

金子氏 ユーザーからの反響は,日を追うごとにに大きくなっています。現在,ホームページ上で登録したユーザーにEX-150に関する情報メールを配信しているのですが,この登録人数が今日現在で1万3000人を突破しています。

 EX-150は,東急ハンズやトイザラス,大型百貨店,大手書店などで販売します。ネット販売も行い,ホームページ上で先行予約も受け付ける予定です。

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[西坂真人, ITmedia]

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