News 2002年1月2日 06:14 AM 更新

2002年のロボット動向をズバリ(?)予測する

2002年は,間違いなく今年以上のロボットブームとなるはず。2002年ロボット業界をロボット担当記者が,大胆に予測してみよう。

 2001年,ロボット業界はかなりの盛り上がりを見せた。取材を通じて多くのロボットを見ることで,心から,2001年はロボット業界にとって重要な年になったと実感したものだ。ちょっと大げさかもしれないが,「世の中が動いている」という表現がピッタリくる。

 2002年,ロボット業界はどんな発展を遂げるのだろうか? ロボット担当記者が,希望的観測と個人的な願望を交えながら,大胆に予測してみた。

4年目のAIBOがビジネス拡大

 ラインアップを拡大させた2001年のAIBO。ソニーではAIBO本体に加え,周辺ビジネスも展開させようとしている。本体価格が10万円を切るようになったとはいえ,まだまだ高額商品の部類。AIBOユーザーに,いかにお金を落としてもうかが,ビジネスを飛躍させるカギを握る。

 周辺ビジネスとしては,「AIBOのパーツ交換」が有力候補だ。AIBOは「OPEN-R」というプラットフォームに準じており,同じくOPEN-Rに対応した部品であれば,頭や足を交換できるという特徴がある。バルキリー調の「ERS-220」のアクセサリーとして,脚部パーツと交換可能なタイヤやキャタピラなどが登場すれば大ヒット間違いナシだ(個人的には,BB弾発射可能な「AIBOキャノン」を希望――「モスラ」のラジコンのように,口から糸を吐くようになれば,なお可である)。

 もちろん,AIBO本体のグレードアップにも期待したい。AIBOのジェネレーションは,内部のコアテクノロジーによって決められるのだが,2001年に発売された2つの新型はいずれも第2世代。2000年10月発売の「ERS-210」とベースは同じ。第2世代が登場してから,来年で2年目。そろそろ大きなバージョンアップがあってもおかしくないだろう。

 だが,ダッシュしたりジャンプしまくるという可能性は低い。自律型で勝手に動きまくるだけに,万が一にも暴走してユーザーを傷つけたりすることがあってはまずいからだ。

ソニーの人間型ロボットが市販される

 サッカーボールを蹴ったり,パラパラを踊ったりして一躍有名になったソニーの全長50センチヒューマノイドロボット「SDR-3X」。しかしながら,2001年は完全に沈黙。登場時はASIMOと人気を2分したSDR-3Xだが,ASIMOの攻勢に押されて,最近は存在感が薄くなっている。

 だが,2001年ももうすぐ終わるという時期になって,ビッグニュースが舞い込んだ。

 ある業界筋によると,2002年中にSDR-3Xが市販されるかもしれないという。しかも,この情報は,ロボット関係者の間ではかなり有名な話とのこと。ソニーでは,SDR-3Xの発表当時,価格を“小型自動車ぐらい”にしたいと話していたが,この情報筋は「AIBOぐらいの価格設定でも不思議ではない」と真顔で話す。

 事の真偽は不明だが,この1年,全く何のアクションも示さず,開発に取り組んでいたとしたら,2002年発売とまではいかなくても,何らかの発表があることは間違いない。まずは,3月に開催される「ROBODEX 2002」あたりで,新しいパフォーマンスを披露する可能性が大だ。

災害救助ロボットが脚光を浴びる

 米同時多発テロで崩落した世界貿易センターでも活躍した災害救助ロボット。国内でも,東海大地震を想定して災害救助ロボットの研究・開発が進展する。といっても,ASIMOのようなヒューマノイドロボットがグレネードランチャーで消化剤を発射して,消火活動を行うといった類のものではない。

 東京工業大学が取り組んでいる蛇型ロボット(瓦礫の中を移動できる専用タイプ)など,一見,地味ではあるが機能的なロボットが脚光を浴びるはずだ。

2足歩行玩具がますます盛んに

 2001年は,玩具レベルで2足歩行が大ブレイクした。2002年は何と言っても,「2足歩行ザク」に注目である。おそらく,大人気で品薄状態となり,オークションサイトでは高値で売られるといった現象が見られるだろう。

 期待したいのは,第2弾,第3弾の2足歩行シリーズである。バンダイでは初代ザクをシリーズ化する予定はないもようだが,今回の売れ行き次第では,より高機能なモビルスーツの開発にGOサインが出るかもしれない。おそらくその場合,現在は単なる飾りにすぎない両腕が稼働するようになり,「ヒートホーク」をブンブン振り回すことができるようになるだろう。

 ザクの販売が予想通り好調だったら,バンダイ以外の玩具メーカーも,未知のゾーンである10万円レベルの高額商品を投入してくる可能性もある。2002年こそ,「スーパーロボット対戦」が実現するはずだ。

家事ロボットが実用段階に

 これまで何度も記事に書いたが,「ロボット」と名の付くもので,家庭への導入がいち早く進みそうなのは,お掃除ロボットである。といっても,全長150センチの人間型ロボット「isamu」が竹箒を持ってレレレのおじさん……などというわけでは,もちろん,ない。

 掃除機に人工知能を搭載して,勝手にそこらじゅう掃除してくれるというものだ。三洋電機や松下電器産業が「高付加価値家電」として開発に力を入れており,市場ニーズから見ても,来年あたり,商品化されてもおかしくない。

 ちなみにZDNN編集部のK記者は,「メイドロボットが欲しい」と訴えていた。メイドロボットとなると,掃除だけでなく,洗濯やら料理やら,一気に仕事が増える。そんなロボットが数年以内に登場するとは思えないが,K記者によれば「そのメイドじゃなくて……」とのこと。いったい何のことだ?

ASIMOが「夜もヒッパレー」に出演

 2001年末にASIMOのレンタルビジネスをスタートさせたホンダだが,マスコットとしては抜群の効果を発揮するASIMOだけに,2002年にビジネスが急拡大することは間違いないだろう。

 中でも期待されるのが,テレビ番組への出演である。これまでのように,ASIMO自体を取り上げるのではなく,番組の企画にASIMOも参加するというものだ。J-Debitの決済をこなしたくらいだから,ASIMOにとって,テレビ番組への出演くらい朝飯前。といっても,ASIMOはしゃべることはできないので,情報番組への出演はなかなか厳しい。そうなると,得意のダンスで勝負できる「夜もヒッパレー」あたりが本命か。

「先行者」宇宙へ

 実は,ロボット関係者の間で「Humanoid Robot of the Year」と評価されている「先行者」。雑誌の表紙を飾ったり,ゲームが登場したり,奇妙なGIFアニメが話題を呼んだりと,日本でも大人気だっただけに,2002年の動向が注目される。

 まず予想されるのが,「先行者日本上陸」である。事務局が頑張れば,ROBODEX2002の会場でその姿が拝めるかも知れない。世界で唯一のパートナーロボット展であるROBODEXに出展し,ロボット開発力をアピールすることは,中国にとっても大きなメリットがある。

 だが,それ以上に期待したいのが,「先行者宇宙へ」である。ご存じの通り,中国の有人宇宙ロケット発射は秒読み段階に入ったと言われる。そこに,先行者も同乗したとなれば,世界中の注目が集まることは間違いない。宇宙空間での作業用ロボットとして,ヒューマノイドロボットが使われれば,人類にとって大きな一歩となることは確実だろう。

ZDNetにロボットチャンネルができる

 ガンダムチャンネルかもしれない……。

[中村琢磨, ITmedia]

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