News 2002年1月10日 01:57 AM 更新

Compaq,新しい家庭向けネットワークデバイスをデモ

Compaq Computerはラスベガスで開かれているCES2002のプレス向けプレゼンテーションルームで,同社の家庭向けネットワークデバイスのデモンストレーションを行った。

 日本でiPAQと言えば,それはPocket PCを意味している。だが,米国では,家庭,ビジネスを問わず,インターネットおよびネットワークサービスとともに動作するデバイスすべてをiPAQシリーズに位置づけている。PocketPCはそのうちの1つにすぎない。

 たとえば8センチCD-Rに保存したMP3ファイルを再生可能な99.95ドルの低価格音楽プレーヤや,モデム(モデムというところが少し古いのだが)と40Gバイトのハードディスク,DVDプレーヤなどを内蔵した“デジタル音楽のコントロールセンター”とでも言うべきアプライアンスなどが,iPAQシリーズとしてラインナップされている(いずれも日本での発売予定はない)。

 これらのデバイスはそれぞれネットワークを介して接続可能で,たとえばiPAQ Pocket PCから音楽再生用のアプライアンスをコントロールすることが可能だ。

 PCのトップベンダーであるCompaqは,「Consumer Electronics Show(CES)2002」の記者向けの展示室に,このiPAQシリーズで発売する新しいデバイス(名称未定)を展示した。このデバイスは音楽,写真,ビデオクリップなどを再生可能なアプライアンスで,インターネットアクセス機能とイーサネットを持っている。また,CDドライブも内蔵しており,CDの再生や録音を行うことも可能だ。


ネットワーク経由でPCのメディアデータにアクセスする新デバイスの試作機

 しかし,このデバイスにはハードディスクなどのストレージは入っていない。Universal Plug and Playに対応し,離れた場所にあるPCをサーバとして利用するのだ。音楽やビデオクリップ,写真などは,すべてPC内に収められているものを離れた場所から利用できる。自分の部屋にあるPCに録音してある音楽を,リビングでリモコン操作して再生,なんて場合に利用するわけだ。

 CESでネットワーク家電を展示しているベンダーを見ると,PCを“数あるサーバ/ストレージのひとつ”としてとらえている企業と,“PCにストレージやファンクションを集中させよう”としている企業に分かれる。当然,後者の方がPCの価値は高まる。Compaqが家庭内ネットワークの秩序として,後者を目指しているのは当然のことだろう。

 ただし,冒頭でも述べたように日本ではiPAQを戦略的に展開してはいない。今後,iPAQの製品ラインが充実してきた時には,ぜひ日本語化も検討して欲しいものだ。

充実してきたPocket PC「iPAQ」のオプション群

 一方,Pocket PCのiPAQも元気だ。ライバルが登場したことで,一時ほどの勢いがあるわけではないが,Bluetooth内蔵の新型が登場するなど,依然として注目度は落ちていない。そして,発売から時間が経過したことで,オプション類の充実が目立ってきた。

 例えば,Nexianが参考展示したNEXI CAM for iPAQは,VGAおよび1/4VGA解像度に対応したデジタルカメラ。スチル映像を撮影可能なのはもちろん,動画キャプチャを行うこともできるiPAQ用ジャケットだ。ジャケットにはコンパクトフラッシュTYPE IIスロットもあるため,ワイヤレス通信カードやメモリカードを追加することもできる。


NEXI CAMの姿。重そうに見えるが意外に軽量。手前にCFスロットが見える

 レンズ部分はフリップし,画面と同じ方向に向けることが可能。付属ソフトウェアを用いれば,ワイヤレス通信カードとともに利用することで,テレビ電話として利用することもできる。まだできたての試作機で,日本でのディストリビュータはないとのことだが,日本での発売にも色気はありそうな雰囲気だった。

 一方,コンパクトかつ軽量な純正キーボードも新発売された。これまでラインナップされていたのはTargusブランドで発売されているものと同じStowawayキーボードだったが,新製品はCompaqオリジナルのFoldableキーボード。

 折り畳みではなく,キーボード左右がずれてスライドする構造が新鮮だ。また,iPAQをホールドする部分がしっかりとしており,使っていて安心感がある。キーボード自体はレイアウトこそ異なるものの,Evo N200と同じキートップとスイッチを利用したもので,コンパクトながらしっかりした印象だった。米国では99ドルですでに販売されている。


iPAQ用新型キーボードを閉じたところ。これを開くと……

このようにスライドしながらオープンし……

最終的にはこのような形になる

 キーボードと言えば,新製品ではないがPresario用にオプションで用意されているスマートカード対応USBキーボードのデモも興味深かった。キーボード右にVISAのICチップ付きクレジットカードにも対応したスロットが2つ用意されており,自分のクレジットカードを挿入することで,様々な機能を利用できる。


IC付きクレジットカードに対応したSmart Credit Card Internet keyboard

 電子メールや課金ゲーム,ショッピングサイトへのアクセスセキュリティをIC付きクレジットカードで保証することができるほか,カードごとに異なるカスタマイズされたポータルサイトを利用可能。カードを挿入すると,自動的にお気に入りのショッピングサイトにジャンプする機能もある。

 この機能はNetissimoという会社がコンシューマ向けスマートカードサービスとして提供しているものだが,キーボードに統合してしまっているところがおもしろい。できればオプションではなく,すべてのPresarioに搭載されれば応用の範囲が劇的に広がると思うのだが,Compaqの日本法人様,いかがなものでしょうか?

関連リンク
▼ Nexian
▼ Netissimo

[本田雅一, ITmedia]

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