News 2002年1月16日 01:07 PM 更新

ワイヤレスなフライパンまで登場――CESで見つけたちょっと気になるガジェットその2

「Consumer Electronics Show2002」は先週,幕を閉じたが,その拾遺集として,紹介しきれなかったデバイス“その2”をお届けしよう。コンシューマ向け製品全般を扱うショウだけに,その出展製品の幅の広さも面白いところだ。

ワイヤレスなペンコンピュータNEXIO

 Samsungが開発したWindows CE搭載の「NEXIO」は,Microsoftが提供しているPDAフォームファクタのいずれとも異なる,高解像液晶とワイヤレス通信機能を内蔵したペン型のハンドヘルドコンピュータだ。本来なら単独で紹介してもいい程,よくできた製品だが,とうとう帰国までに紹介しきることができなかった。


Samsungのワイヤレスペンコンピュータ「NEXIO」

 搭載プロセッサはStrongARM/206MHz,メモリは64MバイトSDRAMと,ハイエンドのPocketPC 2002並のスペック。そして5インチ800×480ピクセル6万5000色の高解像液晶パネルを内蔵していることと,cdma2000 1xの携帯電話機能を内蔵しているのが特徴的だ。

 ワイヤレスデータ通信の速度は144kbpsとcdmaの10倍。しかも,これだけの機能を搭載しながら,284グラムとなかなか軽量に仕上がっている。Java VMも標準でインストールされている。

 サイズは長辺が154.8ミリ,短辺が91ミリ,厚さは14.9ミリ。PCカードやコンパクトフラッシュのスロットは無かったが,専用コネクタに接続するオプションの無線LANモジュールを利用することができる。また,VGA出力ケーブルが標準添付されており,ディスプレイに接続してPocket PowerPointによるプレゼンを行うことも可能。

 携帯電話内蔵デバイスのため,そのまま日本で発売の可能性,という話ではないが,携帯電話によるデータ通信サービスのコストさえ解決すれば,こうした製品は数多く期待できると思うのだが。

Stingerよりこっちが面白い?ImpactraのMPEG4再生機能付き携帯電話

 韓国のベンダー,Impactraの「Swivel MPEG4 Mobile Phone Sync-i」は,Gates氏の基調講演にも登場したユニークな携帯電話。Windows CE採用だから当然Stingerか?と思いきや,Stingerの機能は全く有していない。その代わりにMPEG4プレーヤとして利用可能で,ダウンロードしたMPEG4映像を液晶画面で見ることができる。


Impactiaの「Swivel MPEG4 Mobile Phone Sync-i

 しかも折り畳み形式の筐体は,2.5インチの液晶表示部分が90度回転するのが大きな特徴。通常は縦長だが,横長の映像を再生するときに回転させると,自動的に横画面表示へと切り替わる。縦画面に戻すと自動的にレターボックス形式で縮小表示される。液晶の解像度はクォータVGA(320×240ピクセル)だ。


横長画像を表示する際,液晶を回転させると,自動的に横長表示(中央)になる

 また,MPEG4プレーヤとは別途,Windows CEのWindows Media Player,マクロメディアフラッシュも内蔵しており,JPEG,GIF,BMPといった画像ファイルの表示も行える。MP3,WMA,AACと一通りの圧縮音楽フォーマットの再生も行える。64Mバイトのメモリを内蔵しているほか,SD/MMCのインターフェイスでメモリを増設することも可能。

 一応,PDAとしての機能もあり,電話帳,スケジューラ,電子メール,インターネット接続なども行えるようだ。簡単なボイスレコーダとしての機能もある。ただし,これらはPocketPCなどに内蔵されているPIM機能とは異なる独自のものとのこと。携帯電話部はcdma2000 1xとGSMのデュアルバンド対応だ。

 重量は未公開だったが,幅が55ミリ,高さ96ミリ,厚みが19ミリと,写真で見るよりも意外に大きい。携帯電話のフォルムをした小型PDAといった感じだ。ベンダーの方も,携帯電話の枠にとらわれるつもりは毛頭ないようで,将来的にはテレビチューナやデジタルカメラのオプションを用意していくつもりとか。

Samsoniteの高機能なソフトPCケース

 Samsoniteと言えば,なんといってもスーツケースのメーカーとして有名。特に日本ではライセンス生産をしているエースが,非常にクオリティの高いスーツケースを販売しているため,日本でのブランド力はなかなか高いのでは?と思う。

 実際のところ,米国で売っているサムソナイトスーツケースは日本ほど高品質ではないが,それでも人気の米国ナショナルブランドであることは間違いない。

 そのSamsoniteが開発したのがSoft.Dockというコンピュータケース。単体で販売されているものではなく,Silhouetteシリーズなどの大型ブリーフケースに,PC用インナーバッグとして添付されいている。

 一見はただのインナーバッグだが,開くと特殊な構造でPCのお尻が持ち上がる形になる。Samsoniteによると,これによって通気性が確保され,インナーバッグに入れたままPCを使っても底面を通気口として使っているPCの冷却を阻害しないという。もちろん,キーボードが若干斜めになることによってキーボードが打ちやすくなるのもメリットのひとつだ。


開くと自動的にオシリの部分が持ち上がる構造

 また,利用時に底面となる部分に滑りにくいジャージ織りの柔らかく,通気性の良い素材を採用しているため,膝の上に載せて使う場合にも滑らず,重さで膝が痛くならず,かつ汗が溜まることがないとか。

 PCカードやケーブルを収めるポケットもユニークで,端子側をまとめてひとつ部分に引っかけておくことができる。このため,利用時にコードを引っ張り出す場合も,スムースに引き出して素早くLANケーブルなどを接続可能だ。

ワイヤレスで通信するレンジ台とフライパン

 Digital Cockwareは従来からプリセットした通りに調理の温度指示や現在のフライパンの温度などを知らせ,料理のガイドを行ってくれるSmart Panを販売していたが,今回のCESではこれにワイヤレス技術を投入したSmart Pan RFとSmart Cooktopのセット商品を展示した。

 あらゆるものにプロセッサが組み込まれ,あらゆるものがネットワーク化され,すべての接続はワイヤレスになるという,Bill Gates氏のお言葉通りの製品だ。

 Smart Pan RFはフライパン温度と調理中の素材の温度を個別に計測。そのデータをワイヤレスでSmart Cooktopに転送し,プリセットした料理の調理方法に合わせて自動的に火加減を調整してくれる。


ワイヤレス機能付きの“IT”フライパン。柄の部分に液晶表示もある

 これさえあれば,微妙に生の部分が残った半熟の目玉焼きや,好みに合わせた美味しいステーキを焼けるとか? また,マニュアル操作する場合も,火加減を温度で指定できるという。同社の製品には,まだフライヤーはないそうだが,是非将来的には天ぷらやフライを美味しく仕上げてくれるフライヤーを投入して欲しいところだ。

 しかし,そのうちBluetoothになって,インターネット経由でレシピ情報をダウンロードなんてことになるんだろうか?

シンガポール発の高音質ヘッドホンxdream

 新製品というわけではないが,毎回見つける高音質のヘッドホンシステムxdreamも紹介しよう。シンガポールのベンチャー企業Freesystemが開発したfreespanという赤外線による広帯域デジタルステレオサウンドを使ったヘッドホンである。


デジタル接続のワイヤレスヘッドフォン「xdream」

 freespanは最大48kHz,16ビットのデジタルサウンドを赤外線で安定して飛ばすことができるシステム。赤外線を使ったワイヤレスヘッドホンは数多くあるが,アナログ接続であるため,音はお世辞にも良くない。おおよそ12kHz程度から高音域が減衰し,15kHz以上はほとんど出ていないほど。ノイズレベルも中音域を中心に非常に高い。

 しかし,freespanを採用したxdreamなら,常に高音質をワイヤレスで楽しめる。周波数特性が伸びるのは当然として,ノイズレベルも全域で低くアナログの場合と比較すると40デシベルも低ノイズだ。

 トランスミッターへのサウンド接続はUSBとRCAのいずれか。レシーバは単3電池2本で15時間動作する。赤外線の到達距離は7メートルだという。

【お詫びと訂正】この「xdream」という製品について,本稿では当初,日本で未発売と紹介しましたが,実際には国内でも発売されておりました。お詫びして訂正いたします。

[本田雅一, ITmedia]

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