News 2002年2月5日 06:58 PM 更新

Windows XPはカンフル剤にならなかった――2001年第3四半期PC出荷実績

電子情報技術産業協会(JEITA)が,2001年第3四半期(2001年10〜12月)のPC出荷実績を発表。総出荷台数は,台数・金額ベースともに前年同期比2ケタダウンと振るわず,カンフル剤として期待されたWindows XPも,減速するPC市場に対して需要喚起の効果は少なかったようだ。

 「Windows XPは,“歯止め”にはなったものの,大きな需要波及効果は正直感じられなかった」――。

 電子情報技術産業協会(JEITA)は2月5日,2001年第3四半期(2001年10〜12月)のPC出荷実績を発表した。国内・海外合わせた総出荷台数は,台数・金額ベースともに前年同期比2ケタダウンと振るわず,カンフル剤として期待されたWindows XPも,減速するPC市場のけん引役にはならなかったようだ。


四半期ベースの本体出荷台数推移

 今回発表された2001年度第3四半期のPC出荷実績によると,輸出分を含む本体総出荷台数は269万7000台で対前年同月比89%と2ケタのダウン。金額ベースでも4493億円で同86%と大きく落ち込んでいる。内訳は,国内出荷台数が対前年同期比91%(252万9000台),輸出が同71%(16万8000台)で,国内・輸出ともに振るわなかった。2001年暦年(1〜12月)での総出荷台数でも,対前年比96%と前年割れを示している。


暦年の本体出荷推移。2001年は,前年割れを示した

 第2四半期に対前年同期比79%と大きく落ち込んでいることを考えると,第3四半期は「回復基調のきざしがみられる」(JEITA)。とはいうものの,Windows XP発売があったにもかかわらず,前年をクリアできなかったのだから,「依然として予断を許さない状況」(同)であることには変わりない。

 このWindows XPに関しては「正直言って,それで(需要が)増えたという感触はなかった。ただ,コンシューマ分野だけでみると第3四半期20%ほど落ち込んでいるが,XPがなければもっと落ちていたかもしれない。その意味では,コンシューマ(需要)の落ち込みの“歯止め”にはなったと思う」(JEITA)との見解だった。

 今年(2002年)のPC需要動向は,一体どうなるのだろうか。Windows XPのようにカンフル剤になりえうる商材も見当たらない。JEITAでは「正確な予測数値は出していないが,昨年の1〜3月は伸びているので,2002年は暦年でも落ち込み傾向は続くだろう」と予測している。需要回復の時期については,「業界としては第3四半期までに復活して欲しいと願っているが,実際には年明けの第4四半期にまでずれ込むのでは」と話している。

 業界的には暗い話ばかりだが,明るい材料も中にはある。それは「平均単価の上昇」だ。

 PC1台の平均単価は第2四半期の16万1000円から,第3四半期は16万7000円と,6000円アップした。単価アップの要因について,JEITAは「モニタがCRTから液晶へシフトしたことやPentium 4が主流となった点,付加機能が多いAVモデルへの人気が高まった点などが単価アップにつながった」と分析している。

 また,単価の高いノートPCの構成比率が高まっている点も見逃せない。1997年には出荷台数におけるノートPCの構成比は43%だったのが,2001年は54%にまで上昇している。

 「PCは一般家庭に広く普及したと言われているが,5000万人いる50歳以上のシニア層にはまだまだ普及していない。コンシューマ系では,シニア層への普及拡大をはかるとともに,既存ユーザーの2台目3台目需要をいかに喚起していくかが重要になってくる。ビジネス系は,中堅から中小企業へのPC導入を促進させていきたい」(JEITA)。

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▼ 電子情報技術産業協会(JEITA)

[西坂真人, ITmedia]

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