News 2002年2月12日 10:06 PM 更新

「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」──ファイルローグの日本MMOが東京地裁に答弁書

日本MMOに対し,日本レコード協会と日本音楽著作権協会が,サービス停止を求める仮処分を申し立てた問題で,日本MMOは同申し立ての却下を求める答弁書を東京地裁に提出した。

 ファイル交換ソフト「ファイルローグ」を提供する日本MMOに対し,日本レコード協会(RIAJ)と日本音楽著作権協会(JASRAC)が,同ソフトにおいてMP3ファイルの交換停止を求める仮処分を申し立てた問題で,日本MMOは2月12日,「仮処分申し立てを却下するべき」とする答弁書を東京地裁に提出した。

 答弁書の骨子は,1)日本MMOは音楽CDの複製・送信可能化の主体ではない,2)日本MMOにユーザーの権利侵害行為を教唆・幇助していないということ。「日本MMOはファイル交換ソフトを提供しているだけであり,権利侵害行為が行われたとしても,それは利用者の判断である。もちろん,侵害行為をアドバイスしたこともない」というこれまでの主張を改めて強調した格好だ。

 「ファイルローグの中央サーバが関与しているのは,受信用PCに特定のフィアル名,ファイルパス名,ユーザーID,ならびにIPアドレスなどを送信するところまで。その先の交換プロセスには全く関与してない」(日本MMO)。

「権利者栄えて文化が滅ぶ」

 また,答弁書では,ファイル交換ソフトが音楽産業に対して与える影響について,日本MMOの見解が述べられている。

 例えば,音楽業界は「ファイルローグは違法性を前提としたサービス。ほとんどが権利侵害の楽曲だ」と主張しているが,これに対して日本MMOは,「ファイルローグでは常時数万曲から10万曲が交換されていると指摘しているが,これは,データ読解力に乏しいか,敢えてデータを曲解しているものと思われる。なぜなら,公開されているファイルと実際に交換されたファイルの数はイコールではないからだ。それに,自由交換を希望するアマチュアバンドの作品も少なくない」と反論する。

 また,RIJAやJASRACは,「ファイル交換ソフトの登場によって,音楽CDの売り上げが減少した。将来的に,音楽産業に与える被害はかなり大きなものになる」とファイルローグをはじめとするファイル交換ソフトの危険性を訴えている。だが日本MMOは,「シングルCDの売り上げが減ったのは,マキシシングルの登場で値段が500円から1000円に上がったから。製品単価が上昇すれば売り上げ個数が減少するという当たり前の減少にすぎない」と主張する。

 「日本MMOは,音楽業界が想定するような近視眼的な利益を得ようとしているわけではない。“燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや”とはよく言ったものである。P2P技術を抹殺することは,“権利者栄えて文化が滅ぶ”の事態を招く」(日本MMO)。

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[中村琢磨, ITmedia]

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