News | 2002年2月28日 10:33 PM 更新 |
紙にペンで書いた文字や絵など“手書きの情報”がデジタルデータとなり,Bluetoothを利用してPCや携帯電話に無線で伝送される――昨年話題になった“アノト・ペン”が,いよいよ製品化に向けて動き始めた。
|
手書き情報をデジタルデータにするアノト・ペン |
アノト日本は2月28日,日本での販売に向けたマーケティング専門会社「アノトコミュニケーションズ」を設立したと発表した。新会社では,アノトペンの製品化やデザインに関するコンサルテーション,販売活動などを行う。
アノトコミュニケーションズの鈴木ルミ子社長は「2002年のクリスマスプレゼントまでに,製品を用意したい」と語り,今年の第4四半期には,国内市場にアノト製品の第一弾が登場することを明らかにした。
このアノト・ペンの仕組みについては,ZDNetでもたびたび取り上げている。
|
アノト・ペンの内部 |
簡単に説明すると,ペン先に埋め込まれた超小型カメラが,専用紙(アノト・ペーパー)に印刷された微細な点(ドット)を読み取って,ペンのスピードや方向をペン内部のプロセッサで解析。その情報をBluetoothを使ってPCや携帯電話に送信するというもの。微妙に異なる専用紙のドットパターンによって,ペンが紙のどこの位置にあるのか識別できる仕組みだ。
“ペン”というだけあって,通常のボールペンをペン先に装着できるのだが,これで描く線は,あくまでも人間側が認識するためだけのもの。アノト・ペンは実際の描線を読み取るのではなく,ドットパターンからペン入力を行うわけだ。
Anoto AB取締役兼日本アノト会長のChrister Johansson氏によれば「ペン内部の超小型カメラは,ドットパターンを1秒間に100ショット取り込むことができるため,描き方のアングルや速さ,(文字のカスレといった)描画状態まで解析することができる」という。
|
Anoto AB取締役兼日本アノト会長のChrister Johansson会長 |
実際に,筆者の名前をアノト・ペンで書いてみた。わざと薄めに書いてみたところ,筆圧の弱い文字状態が,送信されたデータにもしっかり反映されているのが分かる。
|
専用紙にアノト・ペン筆者の名前を書いてみた(一番下) |
|
Bluetoothで送信し,プロジェクターに映し出された名前。筆圧の弱さまで反映 |
日本アノトの山中照雄社長は「“キーボード”の世界と“紙とペン”の世界とを結びつけるアノト・ペンは,デジタルディバイドを解決する手段としても期待されている。eコマースはもちろん,通信販売/ロジスティクス/デザイン関係/銀行/医療現場/電子政府など,その応用範囲は幅広い。手書きメモによるコミュニケーション手段として,一般ユーザーにも広がっていくだろう」と語る。
アノト・ペンを開発したAnoto AB社があるスウェーデンでは,今年4月よりテスト販売が開始される。記念すべき第一弾製品は,Sony Ericsson Mobile Communicationsから発売予定の「CHATPEN」。携帯電話と連携できるのが特徴となっている。
「今年中には,USB接続のクレードルを介して,PCに直接データを送信できるタイプのアノト・ペンもリリースする。そして,第一世代アノト・ペンに比べて,大きさ・価格ともに1/2にした次世代アノト・ペンを2003〜2005年に発売。最終的には,普通のペンと同じ大きさになる」(Johansson氏)
|
第一弾はSony Ericssonの「CHATPEN」 |
関連記事
Bluetoothの「ペン」で綴るBluetoothの現状
オンラインショッピングも“ペン”で記入するだけ──Bluetooth対応「アノトペン」(1)
Bluetooth内蔵アノトペンの仕組みは?──「アノトペン」(2)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.