News | 2002年3月11日 10:56 PM 更新 |
山村:ヤフーが,Excite@Homeと同じ道を辿るかと聞かれたら,辿っているのではないかと答えます。ただ,ヤフーがADSL事業を立ち上げたのには,いろいろ事情があるのだと推測します。
変なアナリストは,「(ヤフーに)ブロードバンド戦略がなければだめだ」などと言うし,一方,公開企業であるヤフーは,株価を維持するためには大きな成長戦略を示さなければならない。個人的には,ヤフーは不幸だったと思います。株式を公開したことで,高収益じゃない分野に手を出さなければいけなかったのですから。エキサイトも公開していたら大変だったでしょう。
ZDNet:エキサイトが公開する予定は?
山村:親会社の経営破綻というネガティブな要因もありますし,現状,資金繰りに困っていないという事情もあります。市場環境を総合的に判断して,IPOは棚上げしました。
これまでは,IPOの目的は資金を調達し事業を拡大することでしたが,エキサイトでは今後,まず最初に,“ゴール”を達成してから,IPOを考えるという方針です。われわれのゴールというのは,有料会員が多く,ほかのポータルとは顔の違うメディアになるということです。
ZDNet:現状のライバルとして,「ヤフー&ソフトバンク」「インフォシーク&楽天」の名前を挙げていますね。
山村:楽天のほうは,実はあまりライバル視しているわけでもないのですが,「伊藤忠&エキサイト」の対抗馬として列挙したらおさまりがいいかなと思いまして(笑)。
まあ,それは冗談としても,そうやって対抗意識を打ち出すことで,社員の士気を上げることにつながると思います。だから,ポータルという言葉で一括りにするのが難しくなっても,「アンチヤフー」と声高に叫ぶのです。Sun MicrosystemsがMicrosoftのことを「人類の敵」とこきおろすのと一緒ですよ。あれはさすがに驚きましたが(笑)。
ZDNet:広告出稿を増やすために,エキサイトは「SMAP×SMAP」や東京1週間のようなユーザープロフィール(20〜34歳のユーザーが多い)を持つメディアになると打ち出していますが。
山村:20〜34歳の男女を指すM1F1層は,国内大手の広告主にとっても重要な層です。先ほどの,「顔の見えるメディア」になるとはこのことです。
ZDNet:ユーザープロフィールが似通っていても,テレビ,雑誌,ネットにはそれぞれ媒体としての特性が違います。さらに,ネット広告に対しては,どの企業も懐疑的になっていると思いますが。
山村:その通りですね。解決しなければならない大きな課題です。ただ,エキサイトではいろいろな取り組みをやっていくつもりです。例えば,現在,エキサイトのトップページにアクセスすると全画面広告が表示される仕組みになっています。これで,クリックレートが従来の10倍になりました。ディスプレイで見る広告は全画面でなければならない。テレビと一緒ですね。
また,ネット広告の価値を示す1つの指標が認知度の向上であるならば,全画面広告は非常に意味があります。バナー広告では,広告を見た人のうち,それが何という企業だったか覚えている人はわずか1〜2割というデータがありますが,全画面ではこれが7割にもなります。翻訳サービスでも,翻訳結果が表示されるまでに広告が現れるようにします。
ZDNet:アクセスしたらいきなり全画面広告が出ることに嫌悪感を抱くユーザーもいると思いますが
山村:そうですね,確かにユーザーからクレームをもらうこともあります。でも,こう考えてみて下さい。ちょっと前から,テレビ番組では佳境に入る前に必ずといっていいほどCMが入るようになりました。広告を見てもらわないと,番組がもたないからです。最初は不快でも,だんだん慣れていったんではないでしょうか?
ZDNet:つまらない番組だったら,そこでチャンネルを変えるようになりました。今までは,ダラダラ見ていたものでも(笑)
山村:中にはそういう人もいるかもしれませんね(笑)
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