News 2002年3月12日 08:24 PM 更新

シャープ,新画像圧縮技術を採用した無線伝送方式データプロジェクタを発表

シャープが,データプロジェクタの新製品「PG-M25X」を発表した。東北大学などと共同で開発した新画像圧縮技術「ベクトル量子化技術」とワイヤレスネットワーク技術との組合せによって,リアルタイムでのワイヤレス・プレゼンテーションが行えるという。

 シャープは3月12日,データプロジェクタの新製品「PG-M25X」を発表した。東北大学未来技術開発共同研究センター大見研究室およびアイ・アンド・エフと共同で開発した新画像圧縮技術と,同社のワイヤレスネットワーク技術との組合せにより,リアルタイムでのワイヤレスネットワークデータ伝送を可能にした。5月25日より発売し,価格は79万8000円。


静止画像のワイヤレス伝送を可能にしたデータプロジェクタ「PG-M25X」
静止画像のワイヤレス伝送を可能にしたデータプロジェクタ「PG-M25X」

 長引く不景気で情報関連機器が低迷する中,プロジェクタ分野に関しては順調に市場を拡大している。普及に従って,さまざまなシーンでデータプロジェクタが利用され始めており,ノートPCサイズのコンパクトボディでモバイル利用をうたうモデルも増えてきた。

 しかし,せっかくの軽量小型ボディも,PCとの接続はケーブルを介するため,結局は利用シーンを狭めていた。これを解決するため,無線で画像を伝送するワイヤレスタイプが近年注目され始めている。

 ただデータプロジェクタの画像をワイヤレス化する場合,画面データサイズを小さくしながら,なおかつ画質劣化も少ない圧縮技術が必要になる。だが従来のJPEG形式では,画質劣化や圧縮・復元に時間がかかるなどの問題があった。

 今回,同社がPG-M25Xに搭載した新画像圧縮技術は,東北大学未来技術開発共同研究センター大見研究室が開発した「ベクトル量子化技術」を応用。静止画像を高圧縮率ながら高画質で圧縮・復元でき,JPEG方式では原理的に避けられないモスキートノイズも発生しないという。


ベクトル量子化方式(左)とJPEG方式(右)。下は拡大したもの
ベクトル量子化方式(左)とJPEG方式(右)。下は拡大したもの

  「本体OSにLinuxを採用した高速復号化技術によって,リアルタイムプレゼンテーションが可能となっている。無線方式はIEEE802.11bを採用しているが,将来的には802.11aといった高速な無線伝送方式も取り入れ,静止画だけでなく動画にも対応していきたい」(同社)。

 今回の発表では製品の紹介に終始し,ベクトル量子化技術の詳細を聞くことはできなかったが,今後ネットワークを用いた画像圧縮伝送システムにおける基幹技術となる可能性も秘めているだけに,今回の新技術と同社の動向には注目したい。

 データプロジェクタとしての機能は以下の通り。

製品名 PG-M25X
表示方式 DDR12度品DMD3倍カラーホイール色分離方式
パネル 0.7型XGA(1024×768ピクセル)
明るさ 1900ANSIルーメン
コントラスト比 1000対1
サイズ 219(幅)×76(高さ)×303(奥行き)ミリ
重さ 約2.6キロ
その他 PCカードスロット(TYPE II)×1,ジャイロリモコン付属

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[西坂真人, ITmedia]

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